2016 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of rain on thermal and energy metabolism during exercise.
Project/Area Number |
15K16495
|
Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
伊藤 僚 日本福祉大学, 全学教育センター, 助教 (60611118)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 冷環境 / 降雨 / 風 / 体温 / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに降雨や身体の濡れが運動中のヒトに及ぼす影響に関する報告の多くは寒冷環境を設定して行われている。しかしながら走運動時には走速度と等しい向い風を受け、さらに水は空気と比較して高い熱伝導率のため体熱損失量が増大し、冷環境10℃であっても核心温の低下や筋温の低下を原因とした、エネルギー消費量の増加や血中乳酸濃度の上昇などが起こると考えられる。そこで、2016年度は環境温10℃と走速度と等しい向かい風を人工気象室TBR-12A4PX(ESPEC)を使用して再現し、70%VO2maxで走運動中のヒトの体温およびエネルギー代謝に降雨と走速度分の向かい風による身体冷却が及ぼす生理的影響を検討した。その結果、降雨条件(RAIN)の核心温は一時的に下降し、降雨なし(CON)と比較して、運動開始10分目に有意に低い値を示した。しかしながら、運動開始10分目以降は両条件、共に核心温は上昇し、条件間に有意な差はなかった。更に、開始10分目の血漿乳酸濃度および血漿ノルエピネフリン濃度はRAINがCONと比較して有意に高い値を示した。これらの結果から、冷環境であっても降雨と走速度分の風を受けることで運動中のヒトの核心温は低下し、更に血漿エピネフリン濃度や血漿乳酸濃度の上昇に見られる様に、寒冷ストレスを受けることが明らかとなった。以上のことから、例え冷環境であっても降雨条件下では、運動開始初期においては低体温症などの症状に注意する必要があると考えられる。
|