2016 Fiscal Year Research-status Report
スプリントパフォーマンスを向上させる神経活動増幅技術の開発
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15K16498
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Research Institution | Sagami Women's Junior College |
Principal Investigator |
笹田 周作 相模女子大学短期大学部, 食物栄養学科, 准教授 (80624824)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中枢性疲労 / 直流電流刺激 / 移動運動 / スプリントパフォーマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請はスプリント運動時に生じる下行性指令の “神経活動増幅”技術を開発し、スプリントパフォーマンスの向上及び新たなトレーニング方法の開発を目指している。平成28年度は脊髄へ経椎体直流電流刺激(trans-vertebral spinal direct current stimulation: tsDCS)を用いたトレーニング効果の検証を行う予定であった。前年度の取り組みで、tsDCSによるスプリントパフォーマンスの向上幅が小さかった。そこで、本年度はさらなる運動パフォーマンスを引き起こす刺激パラメータの検討を行った。本年度に得られた成果は以下の点である。 スプリントサイクリング中のtsDCS:被験者12名へ、第11胸椎及び腹部に刺激電極を貼付し、15分間のtsDCS(2mA)を行った。被験者は刺激開始から10分間に渡り安静状態を保ち、その後3分間のウォームアップを経た後、tsDCS中に30秒間の全力サイクリングを行った。刺激は第11胸椎部が陰極、陽極及び刺激無しの3条件であった。これらの条件でスプリントパフォーマンスを比較したところ、何れの刺激条件においても、顕著なサイクリングパフォーマンスの向上は生じなかった。加えて、刺激電極の貼付位置を第11胸椎及び右肩峰に変更し、6名の被験者で検討を加えたが、同様の結果であった。この結果は、前年度に実施したtsDCS後のパフォーマンステストとは異なるものであり、tsDCSがスプリントパフォーマンスへ及ぼす影響は刺激状況依存的であることを示している。トレーニングや走行などの実践的状況への応用を行う為には、これらの状況依存的効果のメカニズムを検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、平成28年度にスプリントパフォーマンスを向上させる直流電流刺激を用いてトレーニング効果を検証する予定であった。しかしながら、前年度に明らかとなった刺激パラメータでは、効果が予想よりも小さかったため、トレーニング効果を検証するに至らなかった。そこで、本年度は引き続き刺激パラメータの検討を行った。その結果、本年度においても、顕著なパフォーマンスの向上を引き起こす刺激パラメータが得られなかった。一方で、本年度の成果により、tsDCSがスプリントパフォーマンスへ与える影響は刺激状況依存的であることが明らかとなった。トレーニングや走行への応用を行う場合、厳密な実験条件を設定する事は難しいため、状況依存的なtsDCS効果が明らかになったことは、今後の応用を目指す上で重要な知見である。これらの状況を総合的に判断し、「やや遅れている」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度でスプリントパフォーマンスを向上させるtsDCSの効果が刺激状況依存的であることが明らかとなった。今後はtsDCSの状況依存的効果のメカニズムを検討し、安定的にパフォーマンスの向上を引き起こす条件を明らかにする。また、現在研究の進捗に若干の遅れが生じているため、本研究課題の主目的である「中枢神経系活動の増幅によるスプリントパフォーマンスの向上及び新たなトレーニング方法を開発」を出来る限り達成するために、脊髄だけではなく、様々な刺激部位の検討を加える予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度に、当初の計画通り本申請課題で得られた成果を論文に投稿している。投稿時期が年度末であったため、論文校正、投稿費について平成28年度の予算執行に間に合わなかった。以上の理由により、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在投稿中の論文について、英文校正費について平成29年度に執行予定である。また、登校中の論文が受理された場合、掲載費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)