2016 Fiscal Year Research-status Report
超音波エラストグラフィを用いて測定した筋硬度に基づく筋のコンディション評価
Project/Area Number |
15K16500
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
千野 謙太郎 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学部, 契約研究員 (30443245)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超音波エラストグラフィ / 筋硬度 / コンディショニング / スポーツ傷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は超音波エラストグラフィを用いて測定した筋の組織弾性、すなわち筋硬度に基づいて筋のコンディションを評価する方法を確立し、筋硬度が筋コンディションの指標としてスポーツ競技者のコンディショニングやスポーツ傷害の予防に活用されるようにすることである。筋損傷や肉離れなどのスポーツ傷害は単一筋内に好発部位が存在することから、平成28年度は肉離れの好発部位である腓腹筋内側頭の遠位部に着目した測定を行なった。足関節底屈10deg(+10 deg)、中間位(0 deg)および背屈10deg(-10 deg)において、腓腹筋内側頭の遠位部および筋腹中央部の筋硬度を測定した。足関節角度と筋硬度の関係を曲線回帰し、得られた回帰曲線を微分して中間位および背屈10degにおける接線の傾きを求めた。遠位部および筋腹中央部の接線の傾きは、中間位において-0.62 ± 0.19 kPa/degおよび-0.77 ± 0.21 kPa/deg、背屈10degにおいて-1.44 ± 0.48 kPa/degおよび-1.48 ± 0.48 kPa/degであり、有意な部位差を示さなかった。次に、筋硬度が筋コンディションの指標として有用であるかを検討するため、伸張性肘屈曲運動を最大努力で30回実施させた前後の上腕二頭筋の筋硬度を測定した。上腕二頭筋の筋硬度は運度前(20.9 ± 7.5 kPa)に比べて運動直後(58.5 ± 21.4 kPa)に有意に高い値を示したが、運動前と運動1日後(36.7 ± 20.0 kPa)、2日後(34.6 ± 19.9 kPa)、3日後(28.2 ± 14.3 kPa)の筋硬度には有意差が見られなかった。この結果から、超音波エラストグラフィを用いて測定した筋硬度は、筋力や血漿クレアチンキナーゼ活性値などの間接的筋損傷指標とは異なる経時変化を示すことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の上半期に「スポーツ傷害の生じやすい部位における筋硬度の測定」の本実験、下半期に「筋硬度を指標とした筋コンディション変化の評価」の予備実験を実施することができた。しかし、「スポーツ傷害の生じやすい部位における筋硬度の測定」や平成27年度に本実験を終了していた「筋硬度の競技種目差の検討」を論文としてまとめ、公表することができなかった。よって、現在までの進捗状況は「やや遅れている」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の上半期に本実験が終了している内容を論文としてまとめ、予備実験が終了している内容の本実験を行う。下半期には足底筋膜炎や回旋筋腱板損傷、アキレス腱断裂などのスポーツ傷害に対する超音波エラストグラフィの活用可能性を検討する予定であり、その後に本研究の総括を行う。
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Causes of Carryover |
「筋硬度の競技種目差の検討」を論文として公表するところまで至らなかったため、論文の掲載料として残していた予算が次年度使用額となってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の上半期に「筋硬度の競技種目差の検討」の論文が採択されるよう努め、その論文の掲載料として次年度使用額を使用する。翌年度分として請求した助成金は主として、論文掲載にかかる費用(英文校正費、投稿料、掲載料)および「筋硬度を指標とした筋コンディション変化の評価」や「スポーツ傷害に対する超音波エラストグラフィの活用可能性の検討」の被験者謝金として使用するつもりである。
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Research Products
(1 results)