2017 Fiscal Year Annual Research Report
the basic analysis of molecular mecahnisms of novel fast-to-slow fiber type swiching involeved in transcriptional cofactor Vgll2.
Project/Area Number |
15K16501
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
本多 賢彦 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 研究員 (10455545)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 運動 / 代償性負荷 / 遅筋化 / 転写コファクター |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋を構成する筋線維のうち、ミトコンドリア含有量が豊富な遅筋線維では効率的にATP が産生されるのに対し、ミトコンドリア含有量の低い速筋線維でのATP産生効率は低い。筋線維タイプ混在比は筋の使用量に応じて変動し、習慣的な運動は遅筋線維比率を増加させる(遅筋化)とともに、ATP産生効率も向上させる。このため運動は、栄養過多が原因となる肥満や生活習慣病、循環器疾患の最も効果的かつ基本的な治療および予防の方法として利用されており、背景となる分子機構の研究も盛んに行われている。 我々は、転写コファクターVgll2の遺伝子欠損(Vgll2 KO)マウスが速筋化の表現型を呈することに基づき、遅筋化分子機構のさらなる解明を行う目的で、Vgll2 KOマウスに協働筋切除を施し、習慣的な代償性運動を課した。その結果、野生型マウスとは異なり、Vgll2 KOマウスでは遅筋化が認められず、Vgll2は運動に対する遅筋化適応に必須であることが判明した。この際、Vgll2タンパク質が増加していたが、一方除神経を行った野生型マウスでは、Vgll2タンパク質が減少しており、運動の刺激はVgll2経路を活性化することが明らかとなった。さらにDuolink PLA法により、TEAD1、MEF2c、NFATc1など、多くの転写因子が、骨格筋線維中でVgll2と共役しており、運動後には複合体形成が促進されることを明らかにした。他方、培養筋芽細胞株C2C12にカルシウムイオノフォアを投与するとVgll2の核への移行が促進されること、さらにFK506を同時投与すると、この効果が打ち消されることを見出し、運動刺激によるVgll2活性化にはカルシニューリンが介在していることが示唆された。これらの成果により、Vgll2を介した新規の遅筋化調節機構の概要が明らかなり、運動による筋代謝賦活化機構の手掛かりを得ることができた。
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Research Products
(2 results)