2017 Fiscal Year Research-status Report
減量プログラムの経済的評価:選択できる減量プログラムの提案を目指して
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15K16509
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Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
片山 靖富 皇學館大学, 教育学部, 准教授 (50513371)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 減量プログラム / 費用対効果 / 経費・コスト / 教育条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,体重減少(以下,減量)プログラムや減量教室の効果を,体重や体脂肪率,内臓脂肪面積などの身体組成,血圧,血液(脂質,血糖)などの医学・生理学的指標に加え,経費や費用対効果などの経済学的指標を含めて評価することである.本研究が進むことで,プログラムを利用して人々の健康の保持増進を支援する者(支援者)は,経済的状況や実施に係る準備負担等,実施条件に応じたそのプログラム・教室を取捨選択できるようになることが期待される.さらには,参加者にとっては,参加(指導)頻度や期間によって変動しうる参加費(価格)と効果のバランス(費用対効果)等の情報を得ることができ,自分の条件やニーズに応じた健康づくりが可能となるため,より多くの受益者を生み出すことができる.より多くの人へ,より大きな効果を提供するための健康づくりプログラムを提供することを目指す研究である. なお,本年度はこれまでの研究に引き続き,指導頻度(講義回数),教室開催期間(介入期間),講義形態(集団講義や個人講義,運動指導や食事指導など),内容の異なる教室を開催した.とくに,食事指導の頻度を大幅に減らし,指導頻度は全6回(月2回ペース),介入期間は3か月という教室と,食事指導のない運動指導・運動の実技実践のみの教室(週2回,3か月間)という教室をおこない,それぞれの医学・生理学的指標と経済的指標を比較した.これまでも内容の異なる教室を開催してきたが,最も減量効果が高いプログラム(週1回,3か月間で約5~7kgの減量)と比べると,全5回の減量教室の減量効果は小さい(2~3kgの減量)が,経費負担は小さくなった.一方で,運動実践のみの教室では減量を目標にしてはいないものの,減量に成功する者が現れた.ただし,週2回の頻度で3か月間指導しているため,経費負担は大きく,費用対効果は低くなることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,教育条件の異なる複数のプログラムを用意し,プログラムに沿った減量支援教室を開催し,その効果を比較している.教育条件のうち,例えば指導頻度が増えると,必要とするマンパワーが増え(指導頻度が減るとマンパワーが少なくて済む),それによって経費も増えることとなる.一方で,先行研究より,指導頻度と減量効果は必ずしも比例しない(指導頻度の増加とともに効果は徐々に小さくなる)ことが明らかになっていることから,指導頻度が増えると費用対効果を悪くする可能性がある.このように,指導条件の異なるプログラムの効果と経費,費用対効果の情報を得るため,これまで複数の教室を開催し,データ・情報を収集できた.本年度はそれらデータ・情報を整理し,報告書としてまとめる状況まで到達している.したがって,本研究は概ね順調に進んでいるものと判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
概ね予定していたデータや情報を収集することができた.ただし,若干,標本数の少ないプログラム・教室があるので,本年も引き続き減量教室や運動教室などを開催し,データや情報を収集するとともに,蓄積されたデータ・情報を整理し,分析していく.最終的には,さまざまなプログラムの医学・生理学的効果に加え,経費などの経済学的指標を同時に示し,健康づくり事業をおこなう支援者は,彼らの条件や目的に応じてプログラムを選択できるように,参加者には自身の減量目標や生活状況に応じて選択できる(仕事が忙しい者は指導頻度が少ないプログラムを選択することや,たくさん減量したい者は減量効果の大きいプログラムを,経済状況が厳しい者には価格が安価なプログラムを選択する など)ような提案をしたい.
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Causes of Carryover |
(理由) 複数の学会・研究会に参加したが,とくに国内学会会場が比較的本務校に近いところばかりであったこととや,教室運営の補助に携わるアルバイトの人数を抑えることができ,人件費を抑えることができたため. (使用計画) 本年度が最終年度となり,これからデータの整理・処理,分析をおこなうこととなる.そのご有無を補助するアルバイトが必要なため,人件費として使用する予定である.また,海外の国際学会への参加を検討しており,その旅費に充てることも考えている.
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