2017 Fiscal Year Research-status Report
注意分散の加齢的変化における視覚情報処理モデルの構築
Project/Area Number |
15K16520
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
池田 拓郎 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 講師 (20611792)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 注意分散 / 視覚誘発電位 / 初期視覚情報処理 / γ帯域律動波 / 暗算負荷 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚情報への注意は、脳内の情報処理に影響を及ぼすとされている。しかし、一点を注視した状態で別の課題を負荷することが、初期の視覚情報処理へ影響を及ぼすかどうかの報告は少なく、加齢による脳内基盤もわかっていない。平成29年度は健常高齢者に対して注意分散が視覚の情報処理に及ぼす影響を検討した。対象は健常高齢者群8名(男性5名、女性3名、平均年齢67歳)。事前に全ての対象者は対してMini Mental State Examination(MMSE)とTrail Making Test(TMT)を行い、認知症と注意障害がないことを確認した。また、対象者は極端な視力低下や視野欠損などの視覚機能に障害がなく、過去に同様の実験に参加したことのない者とした。刺激条件として、眼前114cmの位置から左もしくは右視野へ格子縞パターン反転刺激を4Hzの刺激頻度で提示し、被検者が固視点の注視と同時に暗算をした時の視覚誘発電位(VEP:Visual Evoked Potential;VEPs)を頭皮上の20極部位より記録した。サンプリング周波数は1,000Hz、低域遮断周波数0.53Hz、高域遮断周波数120Hzの条件とした。加算回数は100回とした。解析として、原波形を高速フーリエ変換させ、位相、振幅およびパワー値を算出した。また、律動する高周波γ帯域律動波の頭皮上空間分布を作成した。結果、右後頭部の第2調和成分の振幅とパワー値は暗算によって低下した。高周波γ帯域律動波は右前頭部で縮小し、右後頭部で拡大した。このことより、高齢者における注意分散に伴う初期視覚情報処理ネットワークの時間的・構造的機能連関を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
被検者リクルートに手間を取り、予定していた被検者数に達することができなかった為。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は若年成人と高齢者の被検者数を増やし、群間の変化量を比較検討する。
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Causes of Carryover |
平成30年度の使用計画として、若年成人と高齢者の被検者数を増やすことを検討しているため、被検者謝金にあてる予定としている。また、成果報告として、国内外の学会発表および論文投稿費(校閲費含む)を計画している。
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Research Products
(4 results)