2015 Fiscal Year Research-status Report
飽和脂肪酸,または一価不飽和脂肪酸の摂取がエネルギー代謝と睡眠構造に与える影響
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15K16527
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Research Institution | Tokyo Seiei College |
Principal Investigator |
矢島 克彦 東京聖栄大学, 公私立大学の部局等, 助教 (70632264)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エネルギー代謝 / 脂肪酸 / 自律神経 / 深部体温 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は、24時間のエネルギー代謝と睡眠構造から生活習慣病のリスク低減に有効な脂肪摂取のエビデンスを確立することである。平成27年度は「高SFA食、または高MUFA食の摂取が24時間エネルギー代謝へ与える影響の検討」を実施した。本研究の遂行のためには、特定の脂肪酸を摂取させるための試験食を開発することが必須となる。我々は、小麦粉に脂肪酸組成の異なる油脂を練り込んだマフィン(176Kcal/個、 PFC(%)=7:49:44)を作成することによって、被験者の摂取する負担を軽減させると同時に、油脂の差異による外観の違いにブラインドをかけた。そのマフィンを使用したSFAまたはMUFAを豊富に含む試験食をそれぞれ高SFA食、高MUFA食とした。 健康な若年男性10名を対象に、高SFA食または高MUFA食を、朝、昼、夕と摂取させ、24時間のエネルギー代謝、自律神経活動および深部体温を測定した。高SFA食と比較し高MUFA食を摂取した群では、RQの有意な低下、および脂質酸化量の有意な増加を観察した。自律神経活動に関しては、高MUFA群において日中の交感神経の低値や夜間の副交感神経の高値を観察した。深部体温に関しては高SFA群において夕方から夜間にかけて有意な高値を観察した。これらの結果は、脂肪酸の摂取と生理的パラメータとの関連を報告する先行研究と概ね一致する結果となった。現在それらのデータをまとめ投稿論文を作成中である。 本年度の研究活動により、「摂取することで食後のエネルギー代謝を変化させることができる試験食」を開発することに成功した。平成28年度は試験食摂取期間を延長し、中・長期的な介入による影響、さらに睡眠構造や生体リズム(時計遺伝子発現)測定を行う研究を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題の内容に関するダイレクトな論文は投稿できていないが、今後脂肪酸介入実験を実施する上で必須である「試験食」の作成は完了した。平成28年度はこの試験食を使用した睡眠構造および生体リズム測定を実施することが可能であり、研究課題で設定した計画を達成することができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に作成した試験食を用いて、食事介入期間を延長し、測定項目を追加していく。具体的には、日中および睡眠時を含む体動の測定、睡眠状態の測定および時計遺伝子発現の測定を実施する。平成27年度の研究によって、脂肪酸摂取に介入することにより、夜間エネルギー代謝に加えて自律神経活動や深部体温にも差異が観察された。この結果から、睡眠構造にも影響が現れていることが予測される。今後は脳波測定を行うことで睡眠を評価し、代謝と睡眠の両面から健康増進に有効な脂肪摂取方法を検討していく。
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Causes of Carryover |
平成27年度の直接経費交付額1,100,000円のうち、361,904円を平成28年度に繰り越した。理由は、平成28年度5月に、当初計画していなかった国際学会(The XIII International Congress on Obesity)にて、科研費で行っている研究についての発表を行うため旅費・参加費として400,000円程度が必要となったためである。計画段階ではアクチグラフ(モーションロガー時計型、サニタ商事:400,000円程度)を購入する予定であったが、研究協力者である筑波大学運動栄養学研究室 徳山薫平教授の所持するアクチグラフを使用することが可能となったため、購入を取りやめ学会参加費として使用する。よってこの繰り越し使用によって本研究の遂行に影響がでることはない。また、The XIII International Congress on Obesityでは抄録(ポスター発表)がアクセプト済みであり、助成を受けた本研究の経過発表を行う。発表時に頂戴したご意見を今後の研究の発展に活かしていく。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度には、平成27年度の結果を踏まえ、食事性脂肪酸介入期間を延長し、測定項目を追加していく。具体的には、日中および睡眠時を含む体動の測定、睡眠状態の測定および時計遺伝子発現の測定を実施する。よって、被験者への試験食、実験にともない必要な消耗品およびデータ解析費用が必要となるため、科研費を使用する。
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Research Products
(2 results)