2016 Fiscal Year Research-status Report
筋内組成の一指標である筋輝度は新たなサルコペニア指標となりうるか
Project/Area Number |
15K16531
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
渡邊 裕也 同志社大学, スポーツ健康科学部, 助教 (70644376)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 筋輝度 / 筋内組成 / 超音波 / エコー輝度 / サルコペニア / フレイル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、骨格筋超音波画像から算出する筋輝度を用いた筋内組成評価法に着目して、筋の量および質が筋機能に及ぼす影響を検討すること、筋の質と運動習慣およびサルコペニア/フレイル指標の関連性を探ることを目的としている。当該年度に得られてた知見は以下のとおりである。 1)若齢者と高齢者の大腿部を超音波法ならびにCT法で評価し、それぞれの手法で得られた筋の量的・質的指標を比較した。その結果、超音波指標では、筋組織厚(量的指標)は若齢者が有意に高値を、筋輝度(質的指標)は高齢者が有意に高値を示した。CT指標では、骨格筋横断面積(量的指標)および平均CT値(質的指標)は若齢者で有意に高値を示した。 2)地域在住高齢者を対象とした測定の結果、大腿前部の筋組織厚は身体機能(歩行速度、筋力、筋パワー他)との間に有意な正の相関関係を、筋輝度は各種身体機能と有意な負の相関関係を有することが示された。 3)汎用性の高い介護予防プログラムの短期介入参加者を対象に、広報や日誌を使ったフォローアップを約1年間行い、下肢骨格筋の変化を検討した。分析の結果、大腿前部の筋組織厚はフォローアップ期間中に介入後と比べ有意に低下したが、介入前と同程度の値を保持した。また、筋輝度はフォローアップ期間中に介入後と比較して有意に増加したが、介入前に比べ有意に低値を示した。短期介入終了後、プログラムの自主的な継続をサポートすることで、介入により得られた筋の量的、質的改善効果の消失をある程度防ぐことができる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた各種測定の多くは27年度に前倒しで行うことができたため、当該年度は保有データの整理と解析を中心に行った。今後、体力レベルが低い高齢者を対象とした下肢超音波画像の取得が必要であるが、現時点で本研究課題は、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、これまでに取得したデータを精査し、結果を国内外の関連学会で発表するとともに論文としてまとめていく。また、体力レベルが低い高齢者のデータ数が予定に達していないため、要介護高齢者を対象とした測定を行う予定である。対象者を募集する施設はすでに決定しており、計画通りに研究を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
CTを用いた骨格筋評価の費用が予定よりも低額であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、要介護高齢者を対象とした測定を行う予定である。測定関連の諸経費(旅費、人件費など)に研究費を使用する。また、国内外での学会発表や論文投稿準備費用としても使用する。
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