2017 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of alternative exercise methods for maintaining or improving cognitive function
Project/Area Number |
15K16535
|
Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
宮本 俊朗 兵庫医療大学, リハビリテーション学部, 講師 (30709340)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 脳由来神経使用因子 / 乳酸 / 高速度自転車運動 / 骨格筋電気刺激 / 二重課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、身体活動は認知症を予防・改善することが明らかとなっており、その中心的な役割を担っているのが脳由来性神経栄養因子(Brain-derived Neurotrophic Factor:BDNF)とされている。認知機能の改善やBDNFの発現に対する身体活動の有効性は実施強度が中等度以上でのみ認められている。しかしながら、そのような身体活動の強度は障害者や虚弱高齢者にとっては実施できないことが多い。本研究課題の目的は、身体活動強度が低くても認知症予防に有効な運動様式を構築することである。 平成29年度は健常成人男性17名(21.5 ± 0.7 歳)を対象として、高速度エルゴメーター運動がBDNFに及ぼす影響を検証した。コントロール、40%の強度かつ50rpmの回転数での自転車エルゴメーター、40%の強度かつ100rpmの回転数での自転車エルゴメーターの3施行を実施し、各施行前後のBDNFを比較した。その結果、50rpmでの運動後はBDNFの有意な増加を認めなかったが(p > 0.05)、100rpmエルゴメーター運動後のBDNFは有意に高値を示した(p < 0.05)。本研究結果より、脚力の低下などによって中高強度の運動が実施できないような対象者であっても、駆動回転数を調整することによってBDNFの一時的な増加を見込める可能性が示唆された。 平成27年度には骨格筋電気刺激時のBDNFを測定し、一時的なBDNFの増加には必ずしも中高強度の運動強度が必要ではないことを示し、また、平成28年度においては、二重課題運動時のBDNFを計測することにより、BDNFは身体活動にのみ反応しうることを明らかとした。 研究期間中の一連の研究成果は、障がい者や高齢者など推奨されるような運動を実施できない対象者における認知症予防のための運動様式を確立する上で重要な基礎的なデータとなる。
|