2015 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織の老化に特異的なlncRNAの同定と発現制御による糖尿病態からの回復
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15K16540
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
岩下 雄二 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老化機構研究部, 流動研究員 (70730406)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分子生物学 / 老化 / 脂肪 / マイクロアレイ / lncRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質をコードしないlong non-coding RNA(lncRNA)が、多くの生命現象で重要な役割を果たすことが明らかになりつつあるが、老化による組織機能の低下や、それに伴う病態への移行にlncRNA がどのようなかたちで関連しているか、未だ検証された例はない。肥満によって脂肪組織の老化が促進され、慢性炎症の原因となり、脂肪細胞由来の生理活性物質であるアディポカインの分泌異常を通して、インスリン抵抗性などの糖尿病態を引き起こすことが注目されている。本研究では、脂肪組織の老化特異的に発現が変化するlncRNA を網羅的に同定し、その発現を制御することで脂肪組織の老化に伴う糖尿病態を回復させることを目的とする。今年度は、若年期、中年期、老年期のマウスから内臓脂肪と皮下脂肪を採取し、マイクロアレイを用いて遺伝子発現プロファイルを測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2か月齢、14か月齢、24か月齢のC57/BL6Nマウスから、内臓脂肪である精巣上体脂肪組織と、皮下脂肪である、そけい部脂肪組織を採取し、Total RNAを精製後、Agilent SurePrint G3 Mouse GE マイクロアレイ 8x60K Ver. 2.0で解析した。老化に伴い遺伝子発現が変化することが知られている、細胞老化や慢性炎症に関連する遺伝子の発現変化に加え、新規の老化関連遺伝子または遺伝子群が、月齢特異的または脂肪組織の部位特異的に変化していることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子発現変化を指標に、脂肪組織の老化に伴う病態獲得の原因となるlncRNA遺伝子の候補を選択し、定量PCRによる遺伝子発現変化の確認、発現または発現抑制ベクターの構築、RNAプルダウン法による結合タンパク質の同定を行う。これらの実験手法を、3T3-L1細胞の脂肪細胞分化モデルに適用し、インスリン抵抗性、炎症、細胞老化との関連を明らかにし、新規脂肪老化関連lncRNAの分子機能を明らかにする。
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Causes of Carryover |
より確実に糖尿病態と関連するlncRNAを同定するために実験計画を見直し、今年度に行った、1次スクリーニングであるマイクロアレイによる遺伝子発現プロファイルの測定の費用を抑え、次年度以降に行う2次スクリーニングである、過剰発現または発現抑制による機能解析に用いる候補遺伝子を増やすため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
脂肪組織の老化に特異的な発現を示すlncRNAに注目した研究を進めるため、発現を確認するのに必要な定量PCR等の分子生物学的試薬の購入や、発現または発現抑制ベクターの構築に必要な試薬の購入を行う予定である。
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Research Products
(2 results)