2015 Fiscal Year Research-status Report
“思春期の子どもの居場所”に係る地域人材コンピテンシーモデルと育成プログラム開発
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15K16541
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山田 響子 千葉大学, 看護学研究科, 特任助教 (30710321)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 居場所 / 放課後 / 地域 / 思春期 / コンピテンシー / 人材育成 / 放課後子ども教室 |
Outline of Annual Research Achievements |
身体的・精神的な“居場所”をもつことで学校適応や内的安定性が促進されることが明らかになった後、放課後の子どもの居場所づくりは、文部科学省を筆頭に広く推進されてきた。しかし、小学校高学年以上の思春期の子どもの利用が著しく少ないことや、思春期の子どもを対象とした“居場所”の数自体が非常に少ない現状が報告されている。思春期の子どもの施設利用数や満足度は、人的環境によって左右されることが明らかになっているため、本研究では、主に小学校高学年から中学生の思春期の子どもを対象とした“居場所”スタッフの育成プログラム構築を目的としている。 本年度は、現存の“居場所”スタッフへのインタビュー調査、米国で評価の高い“居場所”の人材育成システムの事例収集、および、デルファイ法を用いた“居場所”スタッフのコンピテンシーリストの妥当性の検証を行った。 スタッフへのインタビュー調査からは、利用者の子どもたちを巻き込むような言葉かけや働きかけの他、スタッフ同士や運営者との効果的なコミュニケーションをとる力、つまり、子どもと大人両方に対するコミュニケーション能力の育成が必要とされていることが抽出された。 米国の人材育成システムの事例収集からは、高い評価を受けている“居場所”運営組織の多くが、2009年にC.S.Mott Foundationが発表した「放課後教育者のコア・コンピテンシー」を基にコンピテンシーモデルを開発し、アウトカムベースの人材育成を実施していることが明らかになった。 最後に、C.S.Mott Foundationによるコア・コンピテンシーを基に、これまでの知見の統合し、放課後の“居場所”スタッフのコンピテンシーモデル原案を推敲した。その上で、文部科学省が公表している放課後子どもプラン地方自治帯担当課を通してデルファイ法による妥当性の検討を行い、7カテゴリ21項目のコンピテンシーモデルが完成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画に入っていなかった、“居場所”スタッフと運営者へのインタビュー調査を追加で実施し、そのデータ分析に時間を要したため。 申請段階では、27年度は 1) デルファイ法を用いた“居場所”スタッフのコンピテンシーモデルの開発、2) 諸外国の事例収集、3) 人材育成プログラムの原案開発、までを予定していた。しかし、現在活動している“居場所”のスタッフが、どのような点で課題を感じ、どのような力をつける必要があると認識しているのかを調査することで、現在行われている研修等で対応できていない問題点を抽出できるのではと考えた。そのため、“居場所”スタッフへのインタビュー調査を予定していた1)以前に実施したが、その結果を反映させてデルファイ法を適用するコンピテンシーモデル原案を作成する必要があったため、当初の予定より進捗に遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に未完遂であった、コンピテンシーモデルを基にした人材育成プログラムの原案作成を、平成28年6月までに終えることとする。7月以降は当初の計画通り、試行および主観的・客観的プログラム評価を行い、人材育成プログラムの構築を進めていく。
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Causes of Carryover |
重複して事務処理処理されていた伝票があり、年度末に重複分を差し戻したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究発表のための旅費や、論文投稿費等、成果発表にかかわる予算として充当したい。
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