2016 Fiscal Year Research-status Report
“思春期の子どもの居場所”に係る地域人材コンピテンシーモデルと育成プログラム開発
Project/Area Number |
15K16541
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山田 響子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 特任研究員 (30710321)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 思春期 / 放課後 / 居場所 / 地域 / コンピテンシー / 人材育成 / 放課後こども教室 / 援助要請 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域で取り組む思春期の子どもの健全育成(特に「放課後子ども教室」等、小学校高学年から中学生が放課後等 に利用できる地域の“居場所”の質・機能の向上と普及)を目指し、(1)“居場所”で思春期の子どもたちとかかわる地域人材のコンピテンシーモデルの開発、及び、(2)コンピテンシーモデルに基づく、地域人材の育成プログラムの構築と評価を目的とするものである。 初年度は、既存の”居場所”スタッフへのインタビュー調査、米国での情報収集を基に”居場所”スタッフのコンピテンシーモデルの原案を開発し、デルファイ法を用いて妥当性を検証した。(目的1の達成) 2年目にあたる今年度は、開発したコンピテンシーモデルを基盤とした人材育成プログラムを構築し、試行と評価を行う予定であった。しかし年度上旬に研究代表者が入院・療養を要する事案が発生し、地域に出てプログラム試行を実行することができなかった。その間、可能な調査として、対象である思春期の児童生徒の”居場所”に対するニーズを潜在クラス分析等によって分析した。その結果、(1)思春期の児童生徒も地域の”居場所”を利用したいという意思は高いこと、(2)”居場所”でしたいことやスタッフにしてほしいことに対するニーズは一様ではなく4から6クラスに分類されること、よって(3)どのクラスの児童生徒を対象とするかによってスタッフに求められるコンピテンシーも異なることが明らかになった。また、悩みや問題を抱えていても”居場所”等の社会的資源を利用しなかったり、他者へ相談をしなかったりと、援助要請行動を起こさない思春期の児童生徒が多数存在することが先行研究からも示唆されている。これらのことから、今後は既存の”居場所”で求められる人材育成プログラムの開発を継続すると共に、援助要請をしない思春期の子どもに焦点を当てた研究がより必要とされることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の妊娠および入院により、予定されていたプログラムの試行・評価を実施することが叶わなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
育休復帰後は、これまでの研究で開発したコンピテンシーモデルの中から、現在行政や民間による研修の手が届いていない点を明らかにし、行政へ人材育成プログラム構築の必要性について提言することを目標とする。また、これまでの研究から、思春期の児童生徒の多様性とその背景が益々浮かび上がってきている。例えば、思春期の児童生徒の中で地域の居場所を利用する者は少数派であり、悩みを抱えながらも自ら相談等の援助要請行動をしないために、社会的サポートからこぼれ落ちている者が多数存在する可能性が明らかになってきた。これは、現行の居場所のスタッフ育成だけでなく、他の形での社会的サポートの在り方を考えていく必要性を意味している。そのためには、居場所を利用しない、援助要請行動を起こさない児童生徒に焦点を当てた研究が今後求められると考えられ、研究代表者もその分野の研究に取り組んで行く所存である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の妊娠および入院により、予定していたプログラムの試行・評価が叶わなかったため。また、その影響で国際学会での学術発表や報告書作成を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
インタビュー謝金、音声データ文字起こし謝金、学会発表費および旅費、論文投稿料、報告書作成費等に使用予定。
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