2015 Fiscal Year Annual Research Report
認知行動療法コンピューターゲームSPARXは抑うつ児童に継続的改善をもたらすか?
Project/Area Number |
15K16550
|
Research Institution | National Hospital Organization, Hizen Psychiatric Center |
Principal Investigator |
八ツ賀 千穂 独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター(臨床研究部), その他部局等, 医師 (80368919)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 抑うつ児童 / 認知行動療法 / コンピューターゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、児童・思春期における抑うつ・うつ病が認識され始め、高い有病率が報告されている。児童・思春期にうつ病と診断された者のうち60~75%は、成人期にうつ病を再発するとも言われており、社会全体の問題として取り組むべき急務である。しかし、未だ多くが気づかれないままであり、幸いにも気づかれ受診に至っても年齢特有の反発や不信感などから継続せず、その結果として不登校やひきこもりという形で治療につながらない現状がある。 そのような中、ニュージーランドのオークランド大学が中心となり、うつ病の精神療法の第一選択とされる認知行動療法(CBT)を取り入れたコンピューターゲーム「SPARX」が2011年に作成された。このSPARX使用により、抑うつ児童においてカウンセリングとゲーム施行は同等の症状改善が見られたことが報告された。SPARXによる支援が受けられるのはニュージーランドだけであったため、SPARX作成者であるMerryらとSPARX共同研究プロトコルを交わし、SPARX日本版の作成を開始した。SPARX日本語版を作成し科学的評価を実施することで、楽しめる抑うつ支援ツールが日本人児童にも有用であることを確認たいという研究目的で研究に着手した。 平成27年8月までにSPARXの画面表示やセリフの翻訳・逆翻訳まで行い、日本語吹き替えや日本風キャラクターへの変更・開発を行っている途中であった。しかしながら、平成27年8月に本研究者への説明なしに日本語版ソフトの商業利用契約を日本の民間企業と結ぶと言う形で先方の契約違反がみられた。数カ月にわたって交渉したが契約は覆らなかった。本研究結果がどのようなものであれ今後企業がプログラムの利用範囲を規定することが確定的となり研究結果の有効活用の道もほぼ断たれたため、平成28年1月大変残念ではあるが研究中止決定に至った。
|