2015 Fiscal Year Research-status Report
付着阻害活性天然物のメカニズム解明を目指した蛍光プローブの合成研究
Project/Area Number |
15K16551
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
梅澤 大樹 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 准教授 (20503618)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 天然有機化合物 / 付着阻害 / 全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、付着生物に対する付着阻害活性天然有機化合物をリードとし、その蛍光プローブ合成を目的とする。既存の付着阻害剤は重金属を含んでおり、環境にやさしい化合物の開発が切望されている。阻害剤のリード化合物として、強い付着阻害活性と低毒性を併せ持つOmaezallene(含臭素化合物)とDolastatin 16(環状ペプチド)に着目した。これらの付着阻害メカニズムを解明をすることで、理想的な化合物開発の糸口となる。そのツールとして、両化合物の蛍光プローブを合成、利用する。我々が独自に見出した全合成経路を応用することで、プローブを合成する。 Omaezalleneでは、すでに合成経路を確立しているので、その経路を応用することで、種々の誘導体を合成し、構造活性相関研究を進めた。その結果、構造を簡略化しても若干の付着阻害活性の低下に留まることを明らかにできた。 Dolastatin 16では、合成経路は確立できていなかったが、本研究によって効率的な合成経路を確立することができた。合成品の付着阻害活性試験の結果、天然から得られたサンプルと同様の強力な付着阻害活性を持つことが明らかにした。また、鎖状の合成中間体2種の付着阻害活性試験も試みたが、これらの活性はDolastatin 16よりも著しく低下した。このことから、Dolastatin 16の環状構造が活性発現に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Omaezalleneでは、蛍光官能基導入に向けた構造活性相関研究を展開し、目途を立てることができた。Dolastatin 16では、蛍光官能基導入および構造活性相関研究を進めるうえ不可欠な合成経路を確立できた。本合成は、構造活性相関研究が容易な経路となっており、次年度ではそれらを進める。
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Strategy for Future Research Activity |
Omaezalleneでは、27年度に見出した誘導体に各種蛍光官能基を導入した化合物を得た後に、付着阻害活性試験を行い、最適化合物を見出す。Dolastatin 16については、蛍光官能基導入の前段階である、構造活性相関研究を進める。具体的には、本化合物には芳香環を含む異常アミノ酸があり、その芳香環をさらに官能基化することで化合物を合成する。
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