2015 Fiscal Year Research-status Report
グリコシル化コラーゲンの系統的化学合成と構造機能解析
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15K16556
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
八須 匡和 東京理科大学, 基礎工学部, 助教 (60587442)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コラーゲン / 翻訳後修飾 / 糖ペプチド / 有機合成 / 生体高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
コラーゲン分子において、リジン残基が翻訳後修飾により酸化、糖転移(グリコシル化)を受け、特殊な糖アミノ酸残基となることが報告されている。この糖アミノ酸残基は最大15%の割合でコラーゲン分子中に存在するにも関わらず、未だにその生物学的機能は解明されていない。本研究では、修飾されたリジン残基を含む新規のコラーゲンモデル糖ペプチドの系統的な化学合成を行う。グリコシル化を考慮していない従来のコラーゲンモデルと構造・物性を比較することで、これまで議論されてこなかったグリコシル化コラーゲンの特性を調査し、その生体内における役割(抗プロテアーゼ活性、免疫賦活活性等)について明らかにする。 本年度は糖鎖を有するヒドロキシリジン誘導体の化学合成に着手した。現在一般的に普及しているペプチド固相合成法であるFmoc法に対応可能な保護糖ペプチドを最初の合成ターゲットとした。具体的にはグルコースとガラクトースそれぞれの糖供与体を合成した後、糖受容体であるヒドロキシリジンユニットの合成を行う。ヒドロキシリジンに対しガラクトース誘導体のグリコシル化反応を行った後、更にグルコースを用いたグリコシル化、数段階の官能基変換を経て目的の糖ペプチドを得る。 これまでに、鍵中間体となるグルコースおよびガラクトースを目的の糖供与体まで誘導することに成功している。現在はこの糖鎖誘導体の大量合成および、ヒドロキシリジン誘導体の合成経路の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
開始初年である本年度は研究実施場所の変更があり、研究環境の大幅な変更があった。合成計画自体は順調に進行しているが、計画当初よりも大型共用設備や実験機器類等の利用を制限せざるを得ず、年度内に予定していた化合物の合成を完了できなかった。このとから本年度の達成度を「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒドロキシリジン誘導体の合成を完了させ、目的のFmoc-糖アミノ酸へと誘導する。Fmoc固相合成法により、糖ペプチドの合成を行う。作成したモデル糖ペプチドの構造解析を行った後、酵素消化実験に取り組む。
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Causes of Carryover |
研究実施機関の変更があったため、備品費およびに関して若干の変更を生じた。また、消耗品は研究の進度によって購入額に変化を生じるため予定金額の経費を使用しなかった。しかし、副次的な研究成果を学会発表し、研究協力者の旅費を計上したため、全体としては概ね計画通りの支出であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は消耗品費として使用する計画である。計画当初予定していたHPLC用分取カラムは当該装置が無いため、試薬および中圧用プレパックカラムの購入に充てる予定である。
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