2015 Fiscal Year Research-status Report
単一ニューロンの活動記録と組織学的解析による大脳基底核機能の解明
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15K16569
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小山 佳 東北大学, 生命科学研究科, 助教(研究特任) (50615250)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 報酬予測誤差 / 刺激の価値 / 報酬の期待 / 首輪による非侵襲的訓練 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は以前から行っていた、線条体のニューロンが得られる報酬に関連してどのような活動を示すかを調べる実験を行った。その結果、線条体のニューロンの活動パターンは2-3種類の類型に分けられ、それぞれが異なる情報(報酬予測誤差、刺激の価値、報酬の期待)を保持していることを示唆する結果を得られた。本研究の成果はJournal Neurophysiology誌にて掲載された(Oyama et al., 2015)。本研究の成果は、線条体ニューロンが報酬と罰に関連してどのような活動の違いを示すのかを明らかにしようとする本研究課題を遂行する上で、非常に重要な基盤情報となると考えられる。 また、上記の実験と並行して、動物の訓練を効率に行うためのシステム構築を行った。動物にとって罰(本実験ではエアパフ)は好ましくないものであり、与えられたときにそれから逃れようと大きく体を動かしてしまい、それにより東部の固定具が損傷してしまう事例がこれまでに度々みられた。そこで、従来の頭蓋骨にインプラントをする固定法ではなく、金属製の首輪を動物に装着させ、それを固定した状態で訓練を行うことにより、長期間、非侵襲的に実験を行う手法を確立し、Journal of Neuroscience Methods誌に掲載された(Tateyama et al., 2016)。本手法は特に、訓練に比較的時間がかかってしまう、難度の高い複雑な課題を動物に訓練する際に有効であり、本研究課題で用いる、報酬と罰の違いを学習させる課題の訓練においても有用であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である、報酬の獲得、もしくは罰の回避を回避を行わせる課題を遂行中の動物からの記録実験は遅れてしまっているものの、複雑な課題を動物に遂行させるうえで基盤となる技術の確立(首輪による非侵襲的訓練)が行えたことにより、今後の実験の効率が飛躍的に向上すると考えられる。また、報酬に関連して線条体のニューロンがどのような活動を示すのかを調べることができたことにより、今後記録されるであろう、報酬や罰に関連した活動の分類やその意味付けにおいて、非常に役立つことが期待されるため、おおむね研究遂行の状況は順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、報酬の獲得、もしくは罰の回避を回避を行わせる課題を遂行中の動物からの記録実験を行っていく。この際に、前述した首輪による非侵襲的訓練法を用いることにより、効率的に実験を進めていくことを目指す。 またそれと並行し、線条体の個々のニューロンがその活動パターンと対応してどのような遺伝子発現を行っているかを解析する実験も行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
外部グラントによる国内・国外出張(学会発表)を行うことができ、旅費を必要としなかったため、残額が生じた。残額の一部は次年度以降の実験のための予備実験に用いた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度においては、遺伝子発現実験を行うため、プライマーの作製や試薬を複数種類用いる必要があるため、それに充てる予定である。
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Research Products
(4 results)