2018 Fiscal Year Annual Research Report
Czechoslovakia "multinational state" 1918-1992
Project/Area Number |
15K16575
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
森下 嘉之 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (60589042)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | チェコスロヴァキア / 東欧 / 歴史認識 / 団地 / 都市 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度(2018年度)は、研究課題「「多民族国家」としてのチェコスロヴァキア」遂行にあたって、前年までの研究成果を踏まえて、論文「「ヒトラーの新秩序」とその後がもたらした地域社会の変容 : チェコ工業都市オストラヴァを事例に(1938-1948年)」(『歴史と経済』60巻3号、2018年、12-21頁)を発表した。これは、第二次世界大戦時の都市社会における戦時体制の国際比較を目指したものであるが、研究の過程で、戦中戦後における社会の解体・再編に民族政策が強く影響を及ぼしたことが明らかになった。戦時中の労働力動員や民族隔離政策など、日本を含む他国との共通点が多く見受けられた一方で、戦後のチェコスロヴァキアにおけるドイツ人追放・チェコ人入植政策は、その後の共産党政権の成立を準備した点で、他国に比して特徴的な政策であったことも明らかになった。 昨年度のもう一つの成果は、台湾で開催された国際ワークショップでの発表「ポスト社会主義期のチェコにおける集合住宅(パネラーク)の歴史認識 」(エスニック・マイノリティ研究会ワークショップ「風景・景観の改変と地域社会の変化」国立政治大学(台北)(2018年8月20日))である。ここでは、チェコスロヴァキアの社会主義時代(1948-1989年)に建設された高層住宅団地の歴史的意味をテーマとしたが、団地の入居者の選別において民族・社会階層による排除の論理が働いていたという見通しが立てられた。また、チェコ人にとって高層住宅団地が社会主義時代の歴史的記憶の象徴的存在として位置づけられるのではないかという見通しが立てられた。以上の研究成果から、チェコスロヴァキア建国百年を経て、同国の社会体制を特徴づけていた「多民族性」について、様々な角度から検証可能性を見出しうることで、今後の研究につなげていく見通しが立てられた。
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Research Products
(3 results)