2017 Fiscal Year Annual Research Report
Soft Power Policy and the Role of the Media in the Contemporary Middle East
Project/Area Number |
15K16577
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
千葉 悠志 早稲田大学, イスラーム地域研究機構, 研究助手 (70748201)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中東 / メディア / ソフト・パワー / 文化外交 / 安全保障 / 国家アイデンティティ / 国際メディア / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現代中東におけるソフト・パワーの構築に向けた各国の動きを、メディア政策と文化外交の観点から明らかにすることを目的としたものであった。とくに本研究では、中東6か国(カタル、UAE、バハレーン、エジプト、ヨルダン、チュニジアでのフィールドワーク(主に資料収集と関係者からの聞き取り調査)を通して、それぞれの国が進めるメディアを通じたソフト・パワーに関する政策を広く論じるとともに、それが各国の国家アイデンティティや安全保障といった諸問題とどのように関係しているのかを解明することを目的とするものであった。 平成29年度は、理論研究、フィールドワーク、原典研究の3つの分野で、それぞれ以下のように研究を進めた。まず、理論研究については、ソフト・パワーに関するメディア・コミュニケーション研究の近年の学術的動向や、国際関係論研究の成果を踏まえたうえで、中東のメディアを論じるための分析枠組みを提起した。とくに前年度におこなった、国際放送局アル・ジャズィーラをめぐる分析枠組みを発展させて、中東の放送局を扱うためのより一般性の高い分析枠組みを提示した。次に、フィールドワークについては、アラブ首長国連邦(UAE)に滞在し、現地の大学や図書館での資料収取をおこなうとともに、同国のメディアシティに拠点を置いた民間放送局へと訪れ、関係者から聞き取り調査をおこなった。とくに、2017年5月末以来の「カタール危機」に関する貴重な証言を数多く得ることができたことは大きな収穫であった。さらに、原典研究については、過去3年間にわたってフィールドワークを通じて収集した中東のメディアや政治経済に関する文献・資料の読解を進めた。以上の作業を通して得られた知見は、『中東研究』『イスラーム地域研究ジャーナル』といった学術誌に論文として投稿して掲載されたほか、分担執筆分として書籍に収録された。
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Research Products
(7 results)