2015 Fiscal Year Research-status Report
現代インドのコミュニティ・ポリシングによる暴動予防への州間比較研究
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15K16583
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
油井 美春 広島大学, 現代インド研究センター, 特任助教 (50634440)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インド / 暴動 / 犯罪 / 憎悪犯罪 / 予防 / コミュニティ・ポリシング / 秩序維持 / 多文化主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はインドのヒンドゥー・ムスリム間暴動に対して、警察と住民によるコミュニティ・ポリシング活動が犯罪および暴動の予防を達成した事例に着目する。本研究の目的とは、活動事例について、聞き取り調査と参与観察を行い、かつ州間比較から活動モデルを導出し、他地域への適用可能性を考察することである。 研究の1年目にあたる平成27年度中には、国内外での成果報告およびマハーラーシュトラ州において現地調査を実施した。平成27年6月には、クロアチア・スプリット市にある国立スプリット大学で開催のTenth Interdisciplinary Social Sciences Conferenceにて“Can Public Involvement through Community Policing Overcome Hate Crime in Local Communities? A Comparative Study of Practices in India”とのタイトルで報告を行った。本報告では、宗教侮辱罪としての憎悪犯罪が暴動を引き起こしてきた状況を確かめ、暴動と予防の因果関係を明示した。その上で、事例検証としてマハーラーシュトラ州においてコミュニティ・ポリシング活動が暴動へと悪化する状況を予防した事例を説明した。 平成28年1月に、マハーラーシュトラ州ムンバイー市において、モハッラー・コミッティ・ムーブメント・トラストによるコミュニティ・ポリシング活動の参与観察と参画する市警察、住民リーダー、住民への聞き取り調査を実施した。今回の現地調査では特に住民がコミュニティ・ポリシング活動に参画する過程を注視して聞き取りを行った。平成28年3月に開催のマハーラーシュトラ研究会にて今回の現地調査で得られた知見を盛り込んだ成果報告を行い、学際的な討論を通じて、研究内容の進展を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度中には、国際学会および関連研究会での成果報告を行い、研究計画はおおむね順調に進展している。平成28年度にさらに2度の国内学会にて成果報告を行い、査読付き学術論文の執筆・投稿によって、成果の公表に取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目はインドのコミュニティ・ポリシング活動モデルの導出のために、タミル・ナードゥ州のフレンズ・オブ・ポリス運動のコミュニティ・ポリシング活動について、資料収集と現地調査を行い、比較分析を進展させる。
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