2017 Fiscal Year Research-status Report
現代インドのコミュニティ・ポリシングによる暴動予防への州間比較研究
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15K16583
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
油井 美春 広島大学, 現代インド研究センター, 特任助教 (50634440)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インド / 暴動 / 憎悪犯罪 / コミュニティ・ポリシング / 予防 / 秩序維持 / 多文化主義 / 共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はインドのヒンドゥー・ムスリム間暴動に対して、警察と住民によるコミュニティ・ポリシング活動が犯罪および暴動の予防を達成した事例に着目する。本研究の目的とは、活動事例について、聞き取り調査と参与観察を行い、かつ州間比較から活動モデルを導出し、他地域への適用可能性を考察することである。 研究の3年目にあたる2017年度中には、単著書刊行による成果公表およびマハーラーシュトラ州において現地調査を実施した。 2018年2月には、本研究課題の下に2015年度~2017年度にかけてインドで実施した現地調査で得られた知見を盛り込んだ単著書『現代インドにおける暴動予防の政策研究』を刊行した。本書は、現代インドにおいて、頻発してきたヒンドゥーとムスリムの間での暴動に対し、現地の人々がどのように対立関係を再構築し、共生の道筋を打ち立ててきたのか、という問題設定の下、コミュニティ・ポリシング活動による予防の効果を実証した。 今回の現地調査では、マハーラーシュトラ州を中心に聞き取り調査を行ってコミュニティ・ポリシング活動の動向を追うとともに、関連する文献資料の収集を行った。加えて、これまでに実施してきた現地調査の知見と展望、研究協力体制について現地の研究者との意見交換を行い、フィードバックを図り、翌年度に実施予定のケーララ州での予備調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究成果として、単著書の刊行を行った。 2017年度中には、単著書の刊行をつうじて成果公表を行い、当初の予定通りに海外で現地調査を実施するなど、研究計画はおおむね順調に進展している。2018年度にさらに国内外の学会での報告、査読付き学術論文の執筆・投稿によって成果の公表に取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
4年目にあたる2018年度には、ケーララ州のジャーナマイシュリ・スラクシャ計画によるコミュニティ・ポリシング活動について、資料収集と現地調査を行い、比較分析を進展させる。合わせて、これまで実施してきたマハーラーシュトラ州とタミル・ナードゥ州でのコミュニティ・ポリシング活動に関する知見を総括し、インドのコミュニティ・ポリシング活動モデルの導出を行う。
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