2016 Fiscal Year Research-status Report
ポスト紛争期イラクの国民形成の包括的研究:教科書分析と世論調査の融合から
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15K16584
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山尾 大 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (80598706)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | イラク / 世論調査 / 紛争 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年とは、次の3つのことを行った。 第1に、世論調査をイラク国内で実施した。27年度に行った教科書と新聞・雑誌などの一次資料の分析で明らかにした体制側の国民統合政策への支持、教科書の歴史・宗教的記述、ナショナル・アイデンティティにかかわる事項を問う質問票を作成し、それを基に世論調査を実施する。質問票の作成にあたっては、イラク政治経済の専門家である吉岡明子氏(日本エネルギー経済研究所・主任研究員)と、世論調査データの計量分析を得意とする浜中新吾氏(山形大学・准教授)の協力を得た。実施は、バグダード大学のマフムード・カイスィー教授、およびサラーム・エバーディー教授を中心とするチームに依頼し、アラビア語、クルド語によるイラク国内の個別訪問面接聴取法で行い、800サンプルを抽出した。 第2に、調査の結果の単純集計を作成し、簡単な分析を開始した。特に、体制側の国民統合政策に対して、その受け手となる人々が、①公定ナショナリズムを変容させ、部族や宗派集団などのサブ・ナショナルなベクトルへと再編する動きが生じているのか、あるいは、②イスラーム世界やアラブ諸国との連携を目指す超ナショナルなベクトルが強いのか、それとも、③体制側の国民統合政策と合致した世論が存在するのか、という問題を明らかにすることを目指した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の最大の課題であった世論調査を無事に実施することができた。本格的な分析については、最終年度に実施を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は、28年度に実施した世論調査、およびその単純集計をもとに、教科書の記述と対照させ、国民統合の進展やアイデンティティの変化についての本格的な分析を進めることを課題とする。
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Causes of Carryover |
予定していたよりも世論調査の委託料が少額であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
英文校閲などの研究蓄積の公開のために使用する予定である。
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[Journal Article] イラク2017
Author(s)
山尾大
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Journal Title
私市正年・浜中新吾・横田貴之編著『中東・イスラーム研究概説――政治学・経済学・社会学・地域研究のテーマと理論』明石書
Volume: 0
Pages: 291‐296
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