2016 Fiscal Year Research-status Report
紛争後のアフリカ社会における内生的な社会統合に関する研究
Project/Area Number |
15K16586
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
村尾 るみこ 立教大学, 21世紀社会デザイン研究科, 助教 (10467425)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 紛争後社会 / 社会統合 / アンゴラ / ザンビア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ミクロな地域研究の視座からアフリカで最も紛争が長期化したアンゴラとザンビア国境地帯に焦点を当て、地域住民が歴史的に構築してきた社会経済的諸活動を当該社会で内生する社会統合の一局面と捉え、その特徴を明らかにする。そしてその社会経済的諸活動の特徴から、マクロな視点からだけでは解明しえない新たな紛争後のアフリカにおける社会統合のあり方を提示することを試みるものである。 本年度は前年度まで継続的に収集してきたザンビア・アンゴラ国境地帯での生計活動と国境を超えた社会関係に関するデータからアンゴラ移住民が紛争以前よりいかに自立的に社会経済的諸活動を再編成したかを分析した。そのために、アンゴラにおいてフィールドワークを実施して、研究対象とするンブンダの人びとの伝統的政治組織の復興と生計活動との関わりについて近隣民族集団や植民地政府、アンゴラ・ザンビア各政府による影響に着目し聞き取り調査をおこなった。このほか、国内外の教育研究機関、関係省庁、国際機関等で各種資料の収集と情報交換をおこなった。さらに、このンブンダの生計活動に関する研究成果を他地域の紛争後社会における社会経済的諸活動との比較検討をおこない、他地域で紛争後社会研究を行っている研究者らとの議論をふまえた上で、紛争前後で国境を横断して再編されてきたアンゴラ移住民社会の社会経済とアンゴラ、ザンビア両国の国家形成との関わりに関する論文執筆をすすめている。このほか、国際農村社会学会において研究成果を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた当初の研究計画は以下のとおりほぼ順調に実施した。これまで継続的に収集してきたザンビア・アンゴラ国境地帯での生計活動と国境を超えた社会関係に関するデータからアンゴラ移住民が紛争以前よりいかに自立的に社会経済的諸活動を再編成したかを分析したほか、ザンビア・アンゴラにおいて1カ月程度のフィールドワークを実施して、アンゴラ移住民の伝統的政治組織の復興と生計活動との関わりについて近隣民族集団や植民地政府、アンゴラ・ザンビア各政府による影響に着目し聞き取り調査をおこなった。国内の教育研究機関、関係省庁、国際機関等で各種資料の収集と情報交換をおこなったほか、他地域の紛争後社会における社会経済的諸活動との比較検討をおこなった。さらに、調査資料を分析し、他地域で紛争後社会研究を行っている研究者らとの議論をふまえた上で、紛争前後で国境を横断して再編されてきたアンゴラ移住民社会の社会経済とアンゴラ、ザンビア両国の国家形成との関わりに関する論文執筆をすすめている。また、8月は国際農村社会学会において研究成果を発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度までに得た資料の検討や分析をするとともに、紛争後の農村社会における伝統的組織の役割や住民同士の社会関係、生計活動に関して、理論的な検討をすすめ論文を学術雑誌に投稿する。国内外の教育研究機関、関係省庁、国際機関等で各種資料の収集と、関連する研究者、行政官、国際機関関係者らとともに、研究集会を開催する。そこで得られた知見をもとに、最終成果をまとめDisasterやアフリカ研究等学術雑誌に投稿するとともに、立教大学や日本学術振興会等の成果公開促進費公募へ応募し書籍出版をすすめる。 また、国内では所属機関およびNPOの活動を通じて、研究成果の還元のため、講演などを行う。
|