2016 Fiscal Year Annual Research Report
Cold War Liberalism and Cold War Humanitarianism
Project/Area Number |
15K16589
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Research Institution | Ohtsuki City College |
Principal Investigator |
佐原 彩子 大月短期大学, 経済科, 助教 (70708528)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アメリカ研究 / 人道援助 / 冷戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度は、8月末から9月初めにかけてInternational Rescue Committee(IRC)が実際に1950年代にどのような活動を行ったのかについて、アメリカ合衆国カリフォルニア州、スタンフォード大学にあるHoover Institutionで史料調査を実施した。また、翌年3月にはベトナムにおいて南北分断に伴う難民避難がどのように記憶されているのか博物館などを調査した。これらの調査によって、IRCのような人道支援団体が政府機関と連携しながら、その他の非営利団体とも連携することによって、マーシャルプラン以後の対アジア援助政策が機能していたことが明らかになった。冷戦構造が強化し、対アジア援助が対共産主義のイデオロギー政策として機能しただけではなかった。援助政策は、アメリカ政府が前面に立って実行されていくものではなく、アメリカ市民の参加が望まれており、アメリカ市民の善意として実行されていかなければならないと、アメリカ政府および非政府組織が同意していたことがわかった。この同意は、相互的に形成されたものであり、関係者がアメリカの対外援助を従来の植民地主義とは異なるものとして想定し実行していたことが明らかになった。つまり、アジア地域で、人道援助をアメリカ一般市民の善意によって提供することは、単に反共イデオロギーに基づいていた政策であっただけではなく、アメリカによる援助を普遍的な人道援助の一環と位置づけることでもあった。 国内学会では12月に日本移民学会で、国際学会では翌年4月にOrganization of American Historiansで研究発表を行った。また、著作二点では研究成果をさらに広い視点から論じ、アメリカ難民政策の全体像や、アメリカ難民政策の問題点などについて、初学者にもわかりやすいような内容で論じた。
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Research Products
(7 results)