2018 Fiscal Year Annual Research Report
Land, Village Chief and Township Government: Comparative Case Studies of Contemporary China
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15K16591
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
任 哲 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター ガバナンス研究グループ, 研究員 (90434381)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中国 / 基層政治 / 郷鎮政府 / 村 / 集団経済 / プリンシパル・エージェント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現代中国の自治組織である村と末端の行政組織である郷(鎮)政府の関係に焦点をあて、基層における政治力学を総合的に分析するものである。従来の研究では、村を郷(鎮)政府の付属的なものと理解し、プリンシパル=エージェント論で両者の関係を捉えていた。しかし、農村における自治制度が確立すると、村を単に行政組織のエージェントとして捉えることはできなくなった。本研究では、郷(鎮)政府と村のトップの任期、郷(鎮)と村の経済規模、村長への奨励メカニズムを中心に分析し、異なる力関係が相互作用する場である郷鎮政府と村の関係を解明した。 最終年度の活動は、今まで収集した資料の整理と分析および最終成果の執筆作業が中心である。まず、複数の事例比較を通じて、本研究が注目する3要素(トップの任期、村の経済規模、奨励メカニズム)が郷鎮と村の関係にどのような影響を与えるのかを分析した。分析の結果からみると、前2者は基層政治における村のプレゼンスを維持・拡大させることに繋がる一方で、奨励メカニズムは村を行政組織のエージェントへと定着させることに貢献する。次に、先行研究ではブラックボックスとして理解されがちだった奨励メカニズムを部分的に解明することができた。しかし、奨励メカニズムは地域ごとに大きく異なるので、更なる研究が必要とされる。最後に、村が所有・管理する集団経済は村の裁量権を確保するものであったが、近年行われる農村経済の株式化はその裁量権を縮小する方向へと向かわせる。村民自治と集団経済は村の自治空間を支えたものであるが、一連の制度改革によりこの構図が変化しつつある。 本研究の最終成果はアジア経済研究所の調査研究報告書として提出しており、所内の査読過程を経て出版される予定である。
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Research Products
(3 results)