2015 Fiscal Year Research-status Report
フランスの少女向け雑誌における少女文化の形成についての実証的研究
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15K16593
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
猪俣 紀子 茨城大学, 人文学部, 准教授 (20734487)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 少女文化 / バンド・デシネ / 雑誌研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1970 年前後のフランスの少女向けBD雑誌を分析することを通して、少女向けメディアと少女文化形成の関連を明らかにすることであり、この目的を遂行するために初年度の平成27 年度は、フランスの少女向けBD作品の収集、閲覧およびその成果報告を行った。まず、フランスで出版された70 年前後の少女BD雑誌で所蔵しているものを把握し、所蔵している資料をもとに日仏女性研究学会第9回会員研究発表大会において「1970年前後の日仏少女雑誌の比較」というテーマで発表を行った(7月18日、恵比寿)。また8月~9月にかけて渡仏し、入手不可能な資料については、フランス国立図書館に通い、雑誌の創刊号や新創刊号を閲覧することで、創廃刊の動向を把握することができた。古本市にも赴き、入手可能な資料については購入した。リヨンでリヨン第三大学日本学科准教授ジュリアン・ブヴァール氏のもとを訪れ、資料の入手方法などの貴重なアドバイスを得た。 夏季に閲覧、入手した資料をもとに内容分析を行い、その成果発表を3回行った。 現在は収集閲覧した資料を基に、さらなる資料の分析を進めているところである。初年度の分析から、高度にジェンダーや年齢でセグメント化されていく日本の雑誌市場と異なり、セグメント化されなかったメディアとしてのフランスの少女雑誌の姿が浮かび上がった。60年代、70年代になぜ少女たちのメディアとしてバンド・デシネ掲載雑誌が定着しなかったのか、引き続き考察していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画として、成果報告を1回予定していたが、日仏女性研究学会第9回会員研究発表大会において「1970年前後の日仏少女雑誌の比較」(7月18日、恵比寿)に加え、第15回中部人間学会(11月28日、仁愛大学)において「フランスの少女向けバンド・デシネ雑誌の変遷」、日本マンガ学会少女マンガ誌部会(12月27日、明治大学)において「フランスの少女向けバンド・デシネ(BD)雑誌」の発表を行い、3回の成果報告を行うことができ、日仏女性資料センターの学会誌に論文掲載も確定している。 資料収集としては、バンド・デシネを掲載した少女向けの雑誌として20世紀初頭のものは所有していたが、その雑誌と関係のある19世紀後半の資料を入手することができ、計画はおおむね達成しているということができる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は雑誌という入手が必ずしも容易でない資料を扱う性質上、資料の収集は重要なポイントとなる。今後も欠けている資料の入手、閲覧、複写を続ける。また、内容分析も併せて進め、BD作品の内容と掲載記事の分析を行う。また本研究はフランスの少女向けメディアと少女文化形成の関連を解明していくことを目的としており、日本の少女マンガとの比較も行う。そのために菊陽町図書館(熊本県)に赴き日本の少女雑誌資料を閲覧する。少女文化とBD雑誌掲載内容との関連性について総合的な考察を行っていく。
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