2016 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical study on the formation of girl culture in French girls' magazines
Project/Area Number |
15K16593
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
猪俣 紀子 茨城大学, 人文学部, 准教授 (20734487)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バンドデシネ / 少女雑誌 / メディア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1970年前後のフランスの少女向けフレンチコミック(バンドデシネ[BD])掲載雑誌のコンテンツ分析を通して、日本の少女マンガ雑誌の隆盛の歴史と比較しながら、フランスの少女文化の形成と雑誌というメディアの関連を明らかにすることを目的とした。 日本とフランスで、少女読者に特化した雑誌の創刊には、それぞれ学校制度の整備との結びつきが影響し、20世紀初頭より少女向けのメディアが続々とニ国で出版された。少女雑誌の萌芽には日仏で同じような社会背景を持っていたといえる。 二国において少女雑誌はそれぞれ発展を遂げるが、60年代からフランスでは廃刊、他雑誌への統合の動きがみられる。その理由としてそれまでの情操教育のための物語が描き続けられたこと、少年少女を区別する文化的差異がなくなっていき、少女向け専門雑誌の存続が難しくなったことが指摘できる。 実際の掲載内容を分析すると、雑誌における少女向けBD作品数の掲載ページ数は増加することがなく、また掲載BD作品ジャンルの変化をみると、「歴史」「冒険」などをテーマとし続け、日本の「生活」「スポーツ」というテーマから、「恋愛」に集約されていく少女マンガの変化とは異なる過程がみられた。またフランスでは「SF」という70年代に男性向けメディアに勃興した新しいジャンルが、少女向けでも掲載されていた。男女の雑誌がテーマなどに影響を及ぼし合うことは、日本でも「ラブコメ」「スポ根」など確認されるが、それぞれ少年/少女マンガらしく消化された表現で展開されていく。しかしBDにおいては少女向けメディアが少年向けに取り込まれている傾向が見られた。少女向けBD雑誌が、少女の感性に寄り添い共感を得る少女に特化したメディア形成のシステムを有してこなかったことが確認できた。
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