2016 Fiscal Year Research-status Report
小児期、思春期、青年期における多様な性心理発達とその支援
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15K16595
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Research Institution | St.Margaret's Junior College |
Principal Investigator |
佐々木 掌子 立教女学院短期大学, 現代コミュニケーション学科, 専任講師(任期制) (80572122)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジェンダー・アイデンティティ / 性別違和 / 性の多様性 / 同性愛嫌悪 / トランスジェンダー嫌悪 / 学校 / 教育効果測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,オランダのアムステルダムで開催されたトランスジェンダーの国際学会であるWorld Professional Association for Transgender Healthに参加をし,本研究で実施する心理検査の内容を知己の心理学者らとディスカッションするなどをし,内容の地固めを行った。そして,ジェンダー・アイデンティティの発達軌跡を明らかにするために,就学前の幼児に対し,インタビューや質問紙などを用いた心理データを取得し,性的諸側面の母集団の分散を検討した。来年度以降,この母集団の分散のデータと,いわゆる臨床群とされる性別違和をもつ子ども(病院等に来院したケース)のデータの重なりを検討していく予定である。 また,子どもたちの性の多様性が自明視され肯定的に受容されるための環境づくりとして重要視される「学校」に焦点を当て,性の多様性の授業を展開する中学校において効果測定を実施した。その際,授業を実施していない同規模・同地域の中学校を統制群として設定した。その結果,統制群は同性愛やトランスジェンダーへの嫌悪感情(同性愛嫌悪・トランスジェンダー嫌悪)の変化はないが,授業群は統計的に有意に低下し,教育の効果が認められた。また,自尊感情と嫌悪とは無相関であり,どれだけ自尊心が高くなろうとも嫌悪は変わらないことが示唆された。さらに,嫌悪がその後の他者尊重に影響するのか,あるいは他者尊重がその後の嫌悪に影響するのかを明らかにするために多母集団交差遅延効果モデルを検討したところ,授業群のみ,他者尊重が上昇した結果,嫌悪が低下するというモデルが採択された。このことは,性の多様性という現象が他者の尊重と結びついていることを生徒が理解することによって,嫌悪の低下につながることを示唆している。結果は国際学会で発表し,さらに国内誌に投稿した。 なお,年度明けに単著が公刊された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
性的諸側面に関する一般母集団の分散を明らかにするため,小学1年生についてのデータを取得予定であったが,依頼先の都合により延期となった。 また,性分化疾患当事者の協力に関しては,どの程度,身体状態を限定して協力者を募るのかなど検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
幼児期と学童期の発達データの比較をするために,小学校の学校長への研究意義への説明を引き続き誠実に行っていく。
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Causes of Carryover |
次年度の物品購入に充てるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品購入費に充てる。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Genetic and Environmental influences on Traits of Gender identity disorder: A Study of Japanese Twins across Developmental Stages.2016
Author(s)
Sasaki, S., Ozaki, K., Takahashi, Y., Yamagata, S., Shikishima, C., Kornacki, T., Nonaka, K., & Ando, J.
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Journal Title
Archives of Sexual Behavior
Volume: 45
Pages: 1681-1695
DOI
Peer Reviewed
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