2018 Fiscal Year Annual Research Report
Valuing regional resources: A empirical study focused on preference formation by sightseeing experience
Project/Area Number |
15K16596
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
坂本 直樹 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (80367937)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域資源 / 観光 / 経済評価 / 費用便益分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、観光によって選好が形成されることを考慮した訪問需要関数を推定することにより、地域資源の経済評価を行うことを目的としたものである。 はじめに、消費が消費経験の影響を受けることを明示的に表現した近視眼的依存症モデルを適用して、観光による選好形成を考慮した訪問需要関数を定式化した。さらに、この訪問需要関数を推定するデータを得るために、山形県への観光に関するインターネット調査を実施した。このインターネット調査では、過去5年間に観光目的で山形県を訪れた経験のある方を対象とし、個人属性のほか、観光を目的とした過去5年間の山形県への訪問回数(以下、過去の訪問回数)、山形県における直近の観光体験や満足度、観光を目的とした今後5年間で希望する山形県への訪問回数(以下、今後の訪問回数)などを尋ねた。 その結果、山形県以外の東北地方の各県の在住者からなる996件のサンプルを得て、今後の訪問回数を被説明変数とし、ポワソン回帰により訪問需要関数を推定したところ、過去の訪問回数と山形県における直近の観光における満足度に関する回帰係数が統計的に有意であることが確かめられた。また、山形県における直近の観光体験の内容をダミー変数により説明変数に加えて分析したところ、花笠まつりなどのイベントを訪れたり、そばや芋煮などの名物を食べたりした経験があるほど、今後の訪問回数の需要が多いことが確かめられた。これは、観光体験による選好形成を示唆するものと考えられる。さらに、推定された訪問需要関数を用いて、直近の観光における地域資源(例えば、花笠まつり)の利用による消費者余剰の変分を計測して地域資源の経済評価を試みた。この方法は、観光政策の費用便益分析を可能とし、また、地域経済への波及効果が計測可能な坂本・中嶌 (2011)の応用一般均衡モデルと連動させることもできる。
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