2016 Fiscal Year Research-status Report
住宅利用を中心とした登録文化財の保全実態と観光資源化に関する研究
Project/Area Number |
15K16601
|
Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
北山 めぐみ 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 助教 (40734257)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 登録有形文化財 / 住宅 / 保存 / 活用 / 地域活動 / 維持管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、高知県内における登録文化財の資料をデータベース化し本制度の運用傾向を把握するとともに、住宅として利用されている登録文化財(以下、登録文化財住宅)15箇所を訪問し、ヒアリング調査により利用実態を明らかにした。さらに、データベースをもとに観光資源化の可能性を検証するためのホームページ・携帯端末用アプリケーション・管理用データベースの作成にも着手した。 登録文化財住宅の利用実態については、高知県東部を中心に調査承諾を得ることができた15件について調査を行った。聞き取り調査の結果、①住宅利用の場合、登録前後に使い方が変わった事例はなく、個人から自治体へ所有が移転した場合には公共的活用に向けた改修と用途転用に伴い登録が行われていることがわかった。②登録以降の改修状況は、ほとんどの物件で何らかの修繕を行っていた。登録制度において届け出が不要な規模や内容に留まっており、改修において制度を負担視する声はなかったが、費用的支援の必要性に課題が見られた。③地域活動等への活用状況については、定期的な地域イベントにおいて土間や座敷、客殿などを開放する事例が13件で確認でき、またこうした活用は登録以前から行っているケースが複数見られ、登録が直接的な活用の動機になるのではなく、むしろ地域へ活用されていたものが登録へ至ったということができる。また、内部を開放していないものについても、地域のランドマーク的存在であったり、地域一帯と連携してイメージ形成に資するものとなっていた。④建物の相続については未定との回答が7件あり数十年後の建物維持に課題が見られた。 本研究結果の一部は、2016年度計測自動制御学会四国支部学術講演会にて発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データベース化が完了し、当初予定していた東部地域の登録文化財住宅の利用実態が把握できた。今年度予定していた未登録の歴史的建造物の実態についての調査を残しているが、次年度予定していた観光資源化に向けた提案・実践が進んでいるため、概ね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度実施できなかった未登録物件について利用状況の把握を行う。さらに、登録文化財建造物の観光資源化の可能性を検討の一環として、データベース作成・まちあるきアプリケーションの開発を進め、実証実験を行う予定であり、すでに地域・ならびに高知県ヘリテージマネージャーと連携して開発に着手している状況である。
|
Causes of Carryover |
今年度予定していた調査の一部を次年度に繰り越したため残金が発生した。ただし、次年度予定していた観光資源化に向けた提案に着手しており、十分に研究を遂行できるものである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、登録されていない歴史的建造物の利用状況について現地調査を行うとともに、観光資源化に向けた提案・実践を行うための開発費(謝金等)・実施費用として使用する予定である。また、成果を還元するために学会発表ならびに地域でのモニタリングイベントを開催する予定である。
|