2015 Fiscal Year Research-status Report
フランス現象学運動における患者と子どもの位相に関する研究
Project/Area Number |
15K16604
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
澤田 哲生 富山大学, 人文学部, 准教授 (60710168)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | メルロ=ポンティ / 現象学 / 発達心理学 / 精神分析 / 政治哲学 / 実存思想 / 児童絵画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本報告書作成者は、「フランス現象学運動における患者と子どもの位相に関する研究」という研究課題のもと、科学研究費助成事業の枠組みにおいて研究活動を行っている。初年度の平成27年度の前半は、おもにフランスの各学術機関で資料収集を行った。海外旅費はこの資料収集のために使用された。その結果として、フランス現象学運動のなかで参照され、日本に所蔵されていない文献の大半が収集された。同年度の後半に、これらの収集された資料を精査し分析し、それが各現象学者の思想においてどのような位置を占めているのかを検討した。 その成果は、とりわけ次の二点の研究業績となった。まず、平成28年3月に大阪大学で開催された国際シンポジウム「傷つきやすさと限界の現象学」(フィンランドの諸大学と大阪大学の共催)で、フランスの現象学者モーリス・メルロ=ポンティの発達心理学受容の意義について発表した(英語発表)。次に、実存思想協会が編集する『実存思想論集』で同じ現象学者の児童精神分析へのアプローチの意義を検討した(平成28年度公刊予定)。どちらの成果も本研究課題の下地となり、来年度以降の研究活動の発展につながるものである。 また他の研究成果として、次のものが挙げられる。平成27年12月に、サルトル研究会のワークショップでメルロ=ポンティの政治哲学について研究発表を行った。これにより、本研究の学際性が確保されることになった。その他の公刊された業績は前年度の成果である。 国内旅費、物品費、諸経費は以上の研究活動に使用された。また謝金は、外国語原稿のネイティヴによる添削に対して支払われたものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本国内に所蔵が確認されないものの、本研究に必要な資料が整備された。研究成果を積極的に発表・公刊したことにより、次年度の研究活動の下地が整えられた。さらに本研究とは直接に関連しない学会で研究発表を行ったことで、本研究の学術的な相対性が確保された。以上の研究活動の経過を鑑みて、本研究課題への取り組みは、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究を推進してゆくために、以下の作業を行う。まず、収集された資料の残りを精査・分析する。これにより、本研究活動の下地が完全に整うことになる。次に、研究の成果を発表、論文、研究報告として精力的にアウトプットしてゆく予定である。とりわけ、国内だけではなく、国外の学会あるいは国際シンポジウム、雑誌で精力的に発表する予定である。これにより、本研究課題の国際的な水準が確保され、研究活動がいっそう深化された水準で推進されるはずである。
|
Research Products
(6 results)