2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on the Bka' gdams pa school from the 11th to the 13th centuries: Focusing on the monastries
Project/Area Number |
15K16618
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
井内 真帆 神戸市外国語大学, 外国語学研究科, 研究員 (90514323)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | チベット仏教 / 仏教史 / カダム派 / チベット / ラディン寺 / 写本 / データベース / 中世史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の項目の一つである「ラディン寺の建造物と供養物に関するフィールド調査を伴った研究」については、2015年度夏季、調査地のラディン寺を60年に一度の祭りの期間に同寺院を実際に訪れ、同寺の高僧2人に協力を仰いで『ラディン寺史』(1299年)に記載される宝物とその現状について調査を行った。また2017年度冬季にもラサを訪れ、同じく同寺の高僧から話を聞くことができた。また本研究のもう一つの項目「カダム派に関する地名と寺院名のデータベース構築について」は、現時点でデータベースはほぼ完成しているが、いくつかの地名についてさらに確認が必要である。またデータベースの公開について協力を仰ぐ予定であったTBRC(Tibetan Buddhist Resource Center, Cambridge, US)が、2017年にチベット語文献だけでなく、全ての言語の仏教文献を扱うデジタルライブラリーとしてBDRC(Buddhist Digital Resource Center)に名称を変え、また責任者も変わるなど大きな変更があった。申請者は2013年2月から2014年8月までTBRCの研究員を務めたが、今後、新たな体制のBDRCと新たに関係を築く必要があり、データの公開も含めて今後の課題となっている。 次に、本研究の具体的な成果としては、最終年度に”The Bka' gdams chos 'byung Genre and the Newly Published Ye shes rtse mo's Bka' gdams chos 'byung,” 岩尾一史・池田巧(編)『チベット・ヒマラヤ文明の歴史的展開』京都大学人文科学研究所, 京都, pp.337-356を発表することができた。これは、イェシェーツェモ(1433-?)著の『カダム派史』(1484年)についての研究で、この文献はおそらくポタラ宮殿所蔵のもので、2015年に中国内で内部出版されたものであり、2015年度のフィールド調査の際に見つけることができた。なお、同内容を2016年にノルウェーで行われた第14回国際チベット学会においても発表をした。
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