2015 Fiscal Year Research-status Report
十七世紀オランダにおけるデカルト主義の宗教・政治思想とその影響
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15K16633
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Research Institution | Tokyo Christian University |
Principal Investigator |
加藤 喜之 東京基督教大学, 神学部, 助教 (00708761)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 思想史 / 哲学 / 宗教学 / キリスト教 / オランダ / デカルト / スピノザ / 十七世紀 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画にあるように、平成27年度はおもに基礎的な史料にあたり、十七世紀の宗教・哲学論争ならびにその政治的な文脈を分析することができた。史料に関しては、もちろんデジタルメディアの助けが大きかったが、在外研究でオランダのナイメーヘンとライデン、アメリカのプリンストン大学・神学大学院の図書館が保存している資料にあたることができたのは今後の研究を進めるうえでも助けとなった。とくに、ライデン大学の文書館には十七世紀のデカルト主義者たちの書簡や討論が多数収められており、それらの多くをデジタル複写できた。 今年度の研究成果は、六月に立教大学、七月に上智大学、九月にオランダ・ナイメーヘン大学(英語)、十月には大阪大学、二月には富山大学(英語)で発表し、内外の研究者から本研究についての貴重な批判や意見を聞くことができた。またさらに、オランダではロッテルダム大学のH・ファン・ルーラー教授やナイメーヘン大学のC・ルツィー教授、H・ヒライ研究員、プリンストンではK・アッポルド教授に加えて、ボストンで開催された米国ルネサンス学会では幾人かの研究者らから本研究に関する助言をいただいた。これらの批判や意見を受けて、本研究の細部を調整し、質的な向上を成し遂げることができた。 これらの成果の発表にかんしては発表や意見交換をもとに日本語での単著の準備は順調に進捗しており、英語論文の投稿も準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度必要であった文献にかんしては予定していた以上のものが収集でき、それらの分析も予定どおり行うことができた。発表を通して貴重な批判を聞くことができ、今後の研究にも反映させていくことができる。他の研究者との交流も日本、オランダ、アメリカで予想していた以上に行うことができ、研究への批判と奨励を受けることができた。執筆に関しては、日本語はおおむね順調にすすんでいるが、英語での投稿論文は予定よりやや進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
英語論文の投稿準備をこれまで以上に行い、2015年度に加え2016年度の成果もあわせたうえで、今年度中には投稿を完了させる。また、前年度の成果をふまえ、さらなる史料の分析を行う。発表に関して言えば、2016年8月にはベルギーのブリュージュで開催される「十六世紀学会」で本研究に関係するパネルを行うことが決定している。また、2016年度から上智大学の中世思想研究所の準所員に選出されたのを受け、「神学・哲学史」研究会を立教大学の阿部善彦、東洋大学の坂本邦暢らとともに発足させた。2016年6月にこの研究会で本研究に関する発表を行うことが決定している。これらの発表を通して、多くの批判と意見を仰ぎ、本研究を発展させていきたい。
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Causes of Carryover |
2015年度に購入しようと計画していた物品が購入できなかったことが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初、2015年度に購入しようと計画した物品を2016年度に購入する。
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Research Products
(6 results)