2017 Fiscal Year Research-status Report
十七世紀オランダにおけるデカルト主義の宗教・政治思想とその影響
Project/Area Number |
15K16633
|
Research Institution | Tokyo Christian University |
Principal Investigator |
加藤 喜之 東京基督教大学, 神学部, 准教授 (00708761)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 思想史 / 哲学 / 宗教学 / キリスト教 / オランダ / スピノザ / デカルト / 十七世紀 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、前年度までに得られた結果をもとにして、代表的なデカルト主義者ヨハネス・クラウベルク (1622-1665) の著作に注目した。本研究者がこれまでの研究で分析してきた 『神と我々の認識にかんしての百の演習』 (_Exercitationes Centum de cognitione dei et nostri_, 1656)に加えて、クラウベルクの思想の体系が表れている『オントソフィア』(_Ontosophia_, 1647, 1660, 1664) のテクスト分析を行った。加えて、Savini (2009) やVerbeek (1999) によるクラウベルクについてまとめられた二次文献の評価も行なった。成果としては、11月の上智大学での発表に加えて、2018年度刊行の『スピノザーナ』に論文を掲載予定である。 これまでの研究から、17世紀後半の文脈を理解するには、より包括的に16世紀の宗教改革を理解する必要があることが明らかになってきた。そこで今年度は、ルターと彼の政治・神学思想の分析にも時間をあてた。成果としては、6月の学習院女子大学での発表と日本ドイツ学会での発表に加えて、9月には日本基督教学会で研究発表を行うことができた。とりわけ後者では、宗教改革研究の専門家から貴重な助言や批判を受けることができた。こうした成果発表や研究協力者らの助言を通して、本研究は当初の研究目的によりいっそう近づいたと思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していたクラウベルクに関する研究は、予定どおり行うことができた。また、発表を通して貴重な批判を聞くことができ、今後の研究に反映できるのは今年度の重要な成果であった。16世紀宗教改革の政治と哲学的な背景について分析できたのは、大きな収穫であった。単著の出版に関していえば、編集の作業が予定していたよりも時間がかかっている。そのため、当初の予定では2017年度の出版を目指していたが、2018年度の出版を目指して準備中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
課題を一年延長したので、最終年度でこれまでの成果を反映させた書籍と論文の出版を目指す。2018年度は、オランダのロッテルダム大学で在外研究をする予定になっている。そのため、より史料にアクセスしやすい状況にある。これらの条件は、研究目的の達成によい影響を及ぼすだろう。英語論文の出版も準備中である。
|
Causes of Carryover |
当初計画では2017年度中に発表予定であった著書や論文を、2018年度に発表する必要が生まれたため、英文校閲費、学会発表旅費等として使用する。
|