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2016 Fiscal Year Research-status Report

ヴァイマール期保守革命論の再検討:「ドイツらしさ」とプロテスタンティズムの関係

Research Project

Project/Area Number 15K16634
Research InstitutionNumazu National College of Technology

Principal Investigator

小柳 敦史  沼津工業高等専門学校, 教養科, 准教授 (60635308)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywordsプロテスタンティズム / 保守革命 / 運命 / シュペングラー / 宗教史学派
Outline of Annual Research Achievements

今年度の前半は、年度当初の予定通り、O・シュペングラーの『西洋の没落』に由来する「運命」概念をキーワードとして、シュペングラーに代表される保守革命的言説を当時のプロテスタント神学者たちがどのように受け止めたのかを分析した。すでに前年度までにH・ショルツ、K・ハイム、W・エーレルトについては分析を進めていたが、今年度前半に分析したE・ヒルシュについての分析を加え、以上の研究成果を9月に開催された日本宗教学会および日本基督教学会の研究大会にて口頭発表により報告した。この作業を通じて、シュペングラーのキリスト教理解がA・ハルナックや宗教史学派の神学者たちの研究成果を通俗化したものであったことも確認できた。これは、保守革命論者とプロテスタンティズムの関係を解明しようとする本研究計画にとって重要な知見である。さらに当初の計画以上の成果として、同時代の保守革命的言説の流行をプロテスタント神学者たちが無批判のままに放置している状況をH・ヤーコプゾーンというユダヤ系言語学者が批判していたことを紹介できた。ヤーコプゾーン自身が興味深い人物であるが、同時代の内在的な視点から、保守革命的言説とプロテスタンティズムの密やかな結託に対する警戒が示されていたことを示す貴重な証言である。
年度後半はシュペングラー以外の保守革命論者のキリスト教理解についての分析に着手した。具体的には、編集者O・ディーディリヒスの元に保守革命論者が集っていた雑誌“Die Tat“に寄稿された関係テクストを入手し、読解を進めている。特に、1917年は宗教改革400周年を記念するさまざまな行事がドイツ国内で行われていたが、“Die Tat“もまたキリスト教に関係する特集号を企画していた。ここに収められた論考を中心に、保守革命論者のキリスト教およびプロテスタンティズム理解を明らかにしたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究計画では、プロテスタンティズム内部での保守革命的言説の受容と、保守革命的言説におけるプロテスタンティズムの評価の再考という、両方向の影響関係の解明を目指している。このうち、今年度前半までにプロテスタンティズム内部での保守革命的言説の受容については予定通りに研究を進めることができた。今年度後半からは保守革命的言説におけるプロテスタンティズムの評価の解明を進める予定であったが、研究者の所属機関変更に伴い研究の進捗に遅れが生じている。しかし、所属機関変更により研究環境が改善されたこと、そして、札幌市内の大学に移ったことで当初の計画では年に1回か2回訪問して資料収集にあたる予定だった北海道大学附属図書館の「ワイマール期ドイツ保守革命文庫」を利用しやすくなったことから、現在の遅れは十分に取り戻すことができる見込みである。

Strategy for Future Research Activity

研究期間の最終年度である平成29年度前半は、現在取り組んでいる、保守革命的言説におけるプロテスタンティズムの評価の解明を進める。具体的には、“Die Tat“所収のテクストを中心に、保守革命論者のルター評価を分析し、保守革命的言説におけるキリスト教およびプロテスタンティズムの位置づけを明らかにしたい。この結果は秋の日本基督教学会の学術大会で報告する。
年度後半は研究成果全体の公開に向けて作業する。発表できていない成果については『ドイツ研究』(日本ドイツ学会)に投稿し、さらに研究成果全体(あるいは全体の概要)を外国語で公表することを目指す。候補としては、Journal for the History of Modern Theology / Zeitschrift fuer Neuere Theologiegeschichteを検討している。

Causes of Carryover

平成29年度より所属先が変更となり、新所属先の採用手続きやこれまでの所属先での引き継ぎなどのために、予定していたドイツでの資料収集及び研究打ち合わせを実施することができず、旅費の支出が少なくなった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度使用額のうちの一部は、新所属先での研究環境整備のための物品費に使用する。残額については、新所属先が札幌となり国内旅費が当初の計画よりも必要になるため、国内旅費に充当する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2016

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] ヴァイマール期のプロテスタンティズムにおける運命概念2016

    • Author(s)
      小柳敦史
    • Organizer
      日本基督教学会第64回学術大会
    • Place of Presentation
      広島女学院大学
    • Year and Date
      2016-09-14 – 2016-09-14
  • [Presentation] プロテスタント神学にとっての『西洋の没落』2016

    • Author(s)
      小柳敦史
    • Organizer
      日本宗教学会第75回学術大会
    • Place of Presentation
      早稲田大学
    • Year and Date
      2016-09-11 – 2016-09-11

URL: 

Published: 2018-01-16  

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