2015 Fiscal Year Research-status Report
近現代フランス習慣論の美学的射程―「創造」と「飽き」
Project/Area Number |
15K16635
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
春木 有亮 北見工業大学, 工学部, 准教授 (80469535)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 飽き / 創造 / 習慣 / フランス / 哲学 / 美学 / 芸術学 |
Outline of Annual Research Achievements |
資料の収集と精読:モンテーニュの『エセー』、パスカルの『キリスト教護経論』、『パンセ』、デカルトの『方法序説』、『精神指導の規則』、コンディヤックの『人間認識起源論』、『感覚論』、『動物論』、『論理学』、メーヌ・ド・ビラン『習慣論』、ラヴェッソン『習慣論』、ベルクソン『物質と記憶』、『創造的進化』、メルロ=ポンティ『知覚の現象学』、ドゥルーズ『差異と反復』の精読を進めた。 概念リストの作成:精読と同時に、後の内容分析のために、習慣およびそれに関連する諸概念を含む記述箇所のリスト作成を進めた。精読のさいに、次の二点を念頭に置き、該当箇所を随時メモをとるかたちで、記録し、電子デイタベース化した。 i) 「理性(知性)」、「感性(感覚)」、「精神」、「身体」、「能動」、「受動」といった二元論的諸概念と習慣概念の関係を示す記述をピックアップする。 ii)「飽き」にかかわる記述をピックアップする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画・方法に即して、研究を進めているので。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね研究計画・方針に即して進める。 ①美学的習慣論の系譜作成:27年度から続けている美学的習慣論の系譜作成精読を終えたところで、前年度のメモに基づき、ピックアップした箇所を中心に再度確認しつつ、美学的見地からの習慣論の系譜を作成する。具体的には、個々の思想家が理性と感性の二元的枠組みの中で(あるいはそれを超えて)、どのように習慣概念を位置づけているかという視点から各思想家の習慣概念の概要を散文的に記述しながら、諸思想家を分類する。 また、思想家ごとに理性、感性の意味内容も異なるため、単に習慣を表現する語の異同に基づく平面的な分類にとどまらず、語法そのもののずれも視野に入れた立体的な系譜の作成を目指す。
②飽き概念のリスト作成:一次文献精読の際、前年度のii)に基づくメモを活用し、飽き論の系譜のリストを作成する。具体的には、各思想家が飽きを指示するのに、「倦怠ennui」や「嫌気」、「疲労fatigue」、「飽満rassasiement」他、どのような語を用いているかのリスト作成であり、またそれは同時に、どのようなフランス語を日本語の「飽き」に回収するかという応募者の解釈を反映するリストでもある。また、各思想家において、「飽き」が「習慣」とどのような関係を結んでいるかも同時にリストに記載していく。こうした作業は、29 年1 月までに終える。 平成27年度は、フランスの国立図書館での調査にかえて、北海道大学付属図書館、ならびに国立国会図書館での調査を多くおこなった。28年度、29年度にフランスでの調査をおこなう可能性がある。
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