2016 Fiscal Year Research-status Report
芸術評価のための現代的価値論の構築:アートワールドの多元化をふまえて
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15K16636
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
森 功次 山形大学, 人文学部, 特別研究員 (30720932)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 美学 / 分析美学 / 観賞 / 美的経験 / 美的価値 / サルトル / フィクション / 芸術観賞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に「美的経験論」「現象学的芸術論」「情動経験」をテーマに研究を進めた。 まず6月に『ベルナール・ビュフェ美術館館報』に「戦後の実存主義と芸術」というエッセイを寄せた。 7月には韓国、ソウル大学で開催されたInternational Congress of Aestheticsに参加し、"Aesthetic experience of bad art: From the point of view of the evaluative approach to aesthetic experience."というタイトルで口頭発表を行った。また同大会では、分析美学系のセッションで司会も務めた。同学会で知己を得た研究者とは、その後翻訳プロジェクトについて相談を続けている。 11月には科学哲学会にてワークショップ「戸田山和久『恐怖の哲学』書評会:情動の哲学理論からアプローチするフィクション論と意識の哲学」に登壇し、「ホラー観賞においてわれわれは本当に恐怖を楽しんでいるのだろうか」というタイトルで口頭発表を行った。こちらの成果は共著論文としてまとめ投稿の予定である。 12月には日本サルトル学会にて私の博士論文「前期サルトルの芸術哲学――想像力・独自性・道徳」の合評会セッションが開催された。セッション冒頭に、博論概要の説明を行い、その後の討論につなげた(特定質問者は永井玲衣氏)。 またイタリアの美学雑誌Agalmaに論文「サルトル『聖ジュネ』における不道徳作品の「善用」」のイタリア語訳"Sull’uso corretto delle opere immorali. Sartre su Genet"が掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
いくつか研究成果は出せてはいるものの、授業準備やその他の雑務、公募書類の執筆、生活費のための仕事などに追われ、研究時間を思うように確保できず、研究は当初の予定通りには進捗していない。うまく時間をやりくりする必要がある。
とはいえ来年度に形になるであろう作業を今年はじっくり進めることができたので、そこは成果といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は今年の研究がいくつか形になる予定である。むしろ課題は、そこから先の研究成果のための準備作業を地道に行っていく必要がある。 来年度は、国際ワークショップなどいくつかの計画がすでにある。また、次の翻訳計画プロジェクトも、著者や出版社とやりとりしつつ進めることができている。やるべき課題は多い。
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