2017 Fiscal Year Research-status Report
芸術評価のための現代的価値論の構築:アートワールドの多元化をふまえて
Project/Area Number |
15K16636
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
森 功次 山形大学, 人文社会科学部, 特別研究員 (30720932)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 美的経験 / 美的判断 / アートワールド / 分析美学 / 現象学 / 現代現象学 / 作品の存在論 / 芸術的価値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に「美的経験」「芸術的価値」をテーマに研究を進めた。まず共著で、『現代現象学―経験から始める哲学入門 (ワードマップ)』植村玄輝・八重樫徹・吉川孝(編著)、富山豊、森功次(著)、新曜社を出版した。 また翻訳では12月に、ノエル・キャロル『批評について: 芸術批評の哲学』、勁草書房、2017年(英語、個人訳)を刊行した。 さらに論文としては、「芸術的価値とは何か、そしてそれは必要なのか」(『現代思想』、2017年12月臨時増刊号 総特集=分析哲学)を執筆した。 口頭発表としては、8月に、国際的な分析美学者であるAaron Meskin氏をお迎えし、東京大学にて国際ワークショップArt and Mindを開催(宮園健吾氏(広島大学)との共同オーガナイズ)。私は“Aesthteic Forecast: Some Problems of Hypothesizing Other's Judgment”という発表(英語)を行なった。また、3月には日本大学人文科学研究所 第13回哲学ワークショップ「美的経験、再考!」をオーガナイズし、「美的選択と個性:伝統的美学理論からの逸脱とその影響」という発表を行った。また、フッサール研究会第16回研究会 シンポジウム「現代現象学の批判的検討」に『ワードマップ現代現象学』著者の一人として登壇し、ディスカッションに参加した。 アウトリーチ活動としては、1)『芸術の言語』刊行記念フェア「グッドマン・リターンズ」、2)紀伊國屋書店ブックフェア「今こそ事象そのものへ! 現象学からはじめる書棚探索」、3)ブックフェア「アーサー・C・ダントー『ありふれたものの変容』ノエル・キャロル『批評について』刊行記念「哲学と批評を脱境界化する」、の三つのブックフェアで選書・解説を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
著作や翻訳の形でこれまでの研究成果が形にできただけでなく、ワークショップ企画などをつうじて、新たな研究方針も見えてきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は「理想的観賞者説」や「美的経験論」といったトピックに着目しつつ、研究を進めたい。「日常生活の美学」など、現代美学には新たな潮流も現れてきているが、そうした場でしっかりと概念構築や論点整理を行なうことで、今後は他分野の研究者に資する研究を行っていきたい。
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