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2017 Fiscal Year Research-status Report

1930年代フランスにおける抽象表現と自然観の相関関係についての研究

Research Project

Project/Area Number 15K16651
Research InstitutionJapan Women's University

Principal Investigator

山本 友紀  日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (30537882)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2019-03-31
Keywordsフランス1930年代 / 抽象芸術 / 装飾芸術 / 自然観
Outline of Annual Research Achievements

夏季休暇中にフランスへ渡航し、これまでの研究で必要と判断された、1930年代を中心とした芸術家・思想家・美術批評家などの言説、当時の芸術に関する出版文化、その背景となった社会的事象に関する一次資料の収集を行った。そのなかでもとりわけ、1937年パリ万博に関する資料についての追加的な調査を行った。
これらの資料に基づき、1930年代芸術における自然科学に関する知識・思想の受容の実態をみるために、デザイナーのフェルナン・レジェ、ル・コルビュジエ、アメデ・オザンファン、シャルロット・ぺリアンの制作活動を検討しながら、 同時期の科学技術の発達に伴い、自然観がどのように変容したかについて考察した。とりわけ、第一次世界大戦後には、ピュリスムにおける機械美学が写真の経験に支えられた近代の知覚や認識の変革とも結びつき、特殊な自然観へと接ぎ木されていること、また、抽象的な表現形式が同時代の芸術における社会性を重視する姿勢と矛盾するものではないことを示した。この研究成果は論文「機械美学と写真―大戦間期フランスにおける芸術と社会〈新しい人間》の構築」(『あいだ』第4号)にもまとめられている。
また、1930年代のフランスには装飾芸術を通じてモダニズム芸術の存続を求める動きが一定の支持を得ていたことは、1930年の文化政策を如実に反映したイベントである1937年のパリ国際博覧会のための彫刻や壁画などの装飾作品の発注において、「フランス的」でないとされたモダニズム的な作品が除外されなかったことにも示されている。この成果は、「装飾芸術の公共性―1937年パリ万博の壁画作品を中心に」(『日仏美術学会会報』第36号)として発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

、夏季休暇中の海外渡航で調査・収集をおこなった資料、図像は満足いくものであり、研究の成果を論文として学会誌に掲載することができた点では本研究課題は進展していると言える。一方で、妊娠・出産による研究活動の一時中断があり、資料収集の面で一部遅れが出ている。
一方で、1930年代の抽象芸術における自然観は、外界としての自然愛好、自然描写ではなく、生成原理のロゴスとしての自然のとらえ方が介入していた可能性について、混沌とした世界を秩序づけようとする「レアリスム」への志向との関係性についての考察を進めるためには、さらなる資料収集と調査の必要があり、その点については研究の進歩状況はやや遅れている。

Strategy for Future Research Activity

今後は、19世紀末の進化論的な思想まで遡りながら、1930年代の自然観の形成の過程を検討し、19世紀末から20世紀初頭にかけての自然観との連続性と差異を考察する予定であり、それを遂行するには科学雑誌・写真専門誌・生物学に関するさらなる資料収集が必要がある。そのため、これまでの研究に基づき、海外での調査がさらに必要な事項を整理したうえで、海外渡航計画案をたて、夏季休暇中もしくは冬期休暇中に実行する予定である。そのあらたなる資料を吟味することで得た研究の成果は、学会で口頭で、もしくは論文の形にして発表する予定である。

Causes of Carryover

産前に切迫早産と診断され、11月から12月にかけて1か月半ほど入院したため、その間、研究活動を中断した。また、平成30年1月6日に出産し、産後の休暇の期間も研究活動を中断した。これにより、研究を進行させるために必要な資料収集を目的とした海外渡航を実行することができず、論文執筆を十分に整った環境のもとで行えないため、次年度使用額が生じた。
当該助成金は、国内外における資料収集・調査にあてる予定であり、その大部分は資料収集のための海外渡航に使用することを計画している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 機械美学と写真――大戦間期フランスにおける芸術と社会2017

    • Author(s)
      山本友紀
    • Journal Title

      あいだ/生成

      Volume: 7 Pages: 15-26

  • [Journal Article] 装飾芸術の公共性―1937年パリ万博の壁画作品を中心に2017

    • Author(s)
      山本友紀
    • Journal Title

      日仏美術学会会報

      Volume: 36 Pages: 23-38

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 坂田一男とパリのアカデミー2017

    • Author(s)
      山本友紀
    • Organizer
      坂田一男研究会
    • Invited

URL: 

Published: 2018-12-17  

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