2016 Fiscal Year Annual Research Report
Aspects of the belief in Sakyamuni Buddha in 6th-8th century East Asian Buddhist Art
Project/Area Number |
15K16652
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
田中 健一 大阪大谷大学, 文学部, 准教授 (00611188)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 仏教美術 / 涅槃 / 舎利 / 本生図 / 仏身観 / 法隆寺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、六~八世紀の東アジア美術における釈迦信仰に関わる造形遺品(特に舎利・涅槃・本生図など)について、教学史や異文化交渉史などの視点を重視しつつ、造形・思想の変遷を跡づけようとする構想をもって遂行した。今年度は昨年度に引き続き(1)当該研究に関連する写真資料・文献資料の収集整理と体系化、(2)資料収集を踏まえたテーマ研究を進めた。 (1)大阪府河内長野市金剛寺所蔵のほぼ全ての彫刻作品を熟覧し写真データを収集した。また、中国(北京・陝西省・甘粛省・福建省・浙江省・上海)において、南北朝時代~宋代を中心に画像データを収集するとともに、当該研究に関連する画像を既刊図録から収集した。文献資料については、特に先行研究に導かれながら『大般涅槃経』を読解し、仏身観に関わるテキストを抽出した。 (2)上記の資料収集を踏まえ次のテーマについて研究を進めた。まず①東アジアの本生図の特性に関する検討を進め、国際美術史学会(於北京、平成28年9月)で口頭発表し、インド・中国などの研究者から様々な教示を得た。この発表は論文化し国際美術史学会に提出した。さらに、この成果を応用した内容を四天王寺仏教文化講演会(平成28年7月)、大阪大谷大学公開講座(平成28年10月)、大阪藝術学舎(平成28年12月)といった講演において公表した。また②東アジアの涅槃図に関する重要な事例である再生説法図の成立の問題を検討し、インドと中国の造形作品の展開と、大乗涅槃経の成立史および中国での解釈史とに関連づけながら説明付ける具体的な見通しを得ることができた。さらにこれを応用して、法隆寺五重塔塔本塑像群の尊格比定に関する提言を行うことができた。涅槃の造型に関するこれらの成果は、京都大学人文科学研究所において行われたワークショップ(平成28年12月)で公表し、大方の賛同をえた。これらの成果は論文化をほぼ終えている。
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