2015 Fiscal Year Research-status Report
戦時下朝鮮・満州映画人の越境的活動に関する実証的研究――李台雨・李香蘭を中心に
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15K16669
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Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
李 敬淑 宮城学院女子大学, 学芸学部, 准教授 (80723048)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 李香蘭 / 李台雨 / 映画 / 植民地朝鮮映画 / 満州映画 / 日本帝国 / 戦時下映画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の一年目の活動は、主に国内外の関連資料を収集することで、研究の土台を作ることであった。とりわけ、海外研究調査の目的は、①韓国側の李香蘭研究の成果を確認したうえで、関連する資料の中でまだ入手が出来てないものを収集すること、②韓国側の李台雨研究の成果を確認したうえで、関連する資料の中でまだ入手が出来てないものを収集することであった。 そのため、韓国映像資料院や高麗大学図書館、そして韓国国立中央図書館で調査を行い、必要とされる資料の8割位確保することができた。 なお、本研究課題に関連した研究論文を掲載することが出来た。「原節子再論(1)――神話の構築と解体」(宮城学院女子大学『日本文学ノート』50号、2015)は、四方田犬彦の研究(『日本の女優』)が代表されるように、李香蘭と対の関係で論じられてきた原節子についての新たなアプローチを試みた研究である。それによって戦時下の李香蘭と原節子を同時に射程に入れて論じることが出来た。 また「植民地朝鮮における活動弁士表象の変遷」(東北大学大学院国際文化研究科『アジア文化研究』2号、2016)においては、李香蘭と李台雨の登場の前史としての植民地朝鮮の状況について論じた。これをスタートラインにして本課題の研究時期についても深く論じることが出来ると考えられる。 研究資料を収集したうえで、研究対象の射程をより具体的に定め、研究時期を前後とする東アジア映画界の状況について論じたことで研究の土台作りが出来たので、これからは分析及び成果発表という二年目に研究活動に移りたいと思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように、必要とされる研究資料を8割くらい収集したうえで、研究対象の射程をより具体的に定め、研究時期を前後とする東アジア映画界の状況について論じたことで研究の土台作りが出来た。順調に進んでいると言える。これからは分析及び成果発表という二年目に研究活動に移りたいと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
二年目の活動については以下の通り行う。 ①収集してきた国内外、特に韓国側の資料を整理し、データ化する。 ②データをもとに分析作業を行う。 ③学会等で発表を行ったうえで、論文作成に入る。 ④審査を経て、論文掲載に力を入れる。
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Causes of Carryover |
本来ならば今年度のうちに中国での海外研究調査を行う予定であったが、勤務校の業務日程が合わなかったため、実施が出来なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度には事前に業務日程を調節して海外調査を行い、使用する予定である。
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