2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the filmmaking process with autograph manuscripts of OZU Yasujiro during both the prewar and the postwar periods
Project/Area Number |
15K16670
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮本 明子 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (60633419)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 映画 / 表象文化論 / フィルムアーカイブ / 日本映画史 / 原作 / 文学 / インタビュー / 一次資料 |
Outline of Annual Research Achievements |
小津安二郎とその映画については、従来は映画を丹念に「見る」ことから、多数の論考が重ねられてきた。これに対して本研究は、映画ができるまでの過程に注目する。一次資料、とりわけ、小津による「直筆ノート」や日記、台本へのメモ書き、絵コンテなどの直筆資料を対象として、映画がいかに成立したのかを明らかにしようとするものである。 2018年度は、これまで調査を進めた松竹大谷図書館・川喜多記念映画文化財団・個人宅等での資料調査結果をリストに集約した。並行して、三重県松阪市をはじめとする2015年度以降の新規調査先について、寄託資料の内容を引き続き確認した。 最終年度にデータを集約し全体像をとらえられた一方、今後の課題も明らかになった。これらの一次資料、情報をどのように保存してゆくのか、演劇台本についてはすでに広く進められている台本のアーカイブ化を、映画台本および関連資料についても更にどう進めていけるか――という二点である。本研究で得られた個々のデータを元に、調査先、関係者との連携を強めつつ具体的な方法を考えてゆきたい。 成果報告として、「映画横断研究(仮)第一回報告会」(2018年1月)企画・主催(東京工業大学)、「絵コンテと撮影現場――小津安二郎の場合」兼松熈太郎監督との対談(第20回「小津安二郎記念・蓼科高原映画祭」記念「蓼科・夏の小津会」)、「映画音響批評『小津安二郎の音を語る』司会・進行(早稲田大学)、「朝二合夜五合」渡辺千明氏聴き手(「映画監督 小津安二郎企画展 ~家族の絆・中条家の人々~」兼松熈太郎氏聴き手(以上3件いずれも2017年7月)等において本研究の成果を一部報告した。並行してアメリカ、カナダ、シンガポール等でも報告を行い、国内フィルムアーカイブの現状や映画製作会社の(アーカイブを含む)広報戦略にも言及し教示を得た。今後は上記各国のアーカイブ事情との比較検討も行う予定である。
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