2016 Fiscal Year Research-status Report
飛鳥井家を中心とした中世末期・近世前期の公家の学芸と継承の研究
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15K16683
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Research Institution | Shigakukan University |
Principal Investigator |
日高 愛子 志學館大学, 人間関係学部, 講師 (20706741)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 飛鳥井家 / 歌道 / 近世 / 中世 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、先ず(1)飛鳥井雅章の詠草の蒐集・整理と検証を行った。主に紙焼き資料ならびにマイクロフィルム資料に基づき、本文や書誌的事項について整理し、未翻刻資料については、翻刻作業を進めた。再調査を行ったのは、大阪府立大学蔵『雅章卿詠歌』・国文学研究資料館蔵『飛鳥井雅章卿詠草』・宮内庁書陵部図書寮文庫蔵『飛鳥井雅章詠草』・國學院大学蔵『雅章卿和歌』・宮城県立図書館伊達文庫蔵『飛鳥井雅章卿詠草』・祐徳稲荷神社蔵『飛鳥井雅章卿詠草』である。但し、本年度は、当初予定していた研究協力者によるデータ入力作業が行えなかったため、次年度に依頼する予定である。 続いて、前年度に書誌調査を行った(2)飛鳥井雅豊の着到百首について、宝永二年の百首の翻刻を公開した(志學館大学人間関係学部研究紀要)。 加えて、(3)歌学書・蹴鞠関連書の蒐集と整理・検証に着手した。関西大学図書館に蔵される『飛鳥井雅継卿和歌口伝』は、雅庸の和歌口伝である。1丁裏に「青楓館印」「荷田氏珍蔵」と墨書される。その内容は、雅庸(雅継)の門弟となった但馬守実頼に対し、同じく雅庸門弟の木戸元斎が歌会作法や歌道伝受について聞書し、天正19年(1591)に相伝したものであり、雅庸の門弟らの人間関係がうかがえる資料である。また、巻末に「追而五ケ条聞書之分加之」として追補される聞書には、冷泉家説や細川幽斎の言説が記される。中世末期における和歌口伝や講釈の様相を知る手がかりとして、次年度に更に検証を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き、資料の蒐集や整理、検証を中心に研究を進めてきた。但し、本年度は、研究拠点の異動等があり、当初予定していた研究協力者による資料データの入力作業の依頼などが行えなかった。次年度に行いたい。一方で、歌学書や蹴鞠伝授書の蒐集や整理は当初予定していたよりも早く進んでいる。 以上の理由により、本年度の研究はおおむね順調に進んだと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策について、当初予定していた内容から特に変更はない。次年度は本研究課題の最終年度となるため、地域資料の蒐集にも着手し、中央と地方のネットワークの解明にも注力したい。また、研究成果をまとめ、順次発表していくようにする。
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Causes of Carryover |
計画当初、研究協力者による資料データ入力補助を依頼する予定であったが、本年度は依頼できなかったため、人件費に未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度に依頼できなかったデータ入力補助作業について、次年度に研究協力者に依頼することとする。また、本年度、日程の都合で実施できなかった京都での資料調査を次年度に実施する予定である。
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Research Products
(2 results)