2018 Fiscal Year Annual Research Report
The study of music in medieval literature, Investigation of the history of Gagaku from the viewpoint of bibliography
Project/Area Number |
15K16686
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
猪瀬 千尋 名古屋大学, 人文学研究科, 共同研究員 (10723653)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中世文学 / 雅楽 / 今様 / 地下楽人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は①今様琵琶譜の解読に向けた作業、②豊原氏関係資料の調査収集、③書陵部蔵伏見宮家旧蔵本の調査研究を行った。 ①今様琵琶譜は本科研に基づき遂行された調査の過程で発見された新出資料である。特にその中に含まれる「足柄」は、今様の中でも大曲(秘曲)とされ、それまで詞章についても明らかになっていなかったものである。楽譜分析の結果、催馬楽や風俗との関係性が見られることがわかった。そのため催馬楽については『三五要録』や『催馬楽略譜』を、風俗については『風俗譜(三五要録巻十三)』を対象として、今様譜との比較検討を行った。また詞章分析の結果、足柄が囃子詞「よな」を基点として展開していく曲であること、関のモチーフ(道祖神、塞き止められる瀧など)とゆるやかに関わる歌であること、遊女などの立場から読まれた恋の歌であることがわかった。この成果については『国語と国文学』誌上で報告される。 ②について、地下楽人・豊原氏は笙を家業とする一族である。本科研の一環として、笙の家である山科家の旧蔵文書を調査したところ、南北朝期の楽人・豊原英秋の口伝書が発見されたため、翻刻を行った。豊原氏や大神氏、狛氏など、鎌倉~南北朝期にかけて、これまで明らかでなかった地下楽人の実態がわかる貴重な資料であると考える。 ③について、書陵部蔵伏見宮家旧蔵本のうち音楽に関わるもの(伏函900~1200号とその周辺)の調査を行った。新出の神楽歌の琵琶譜や、風俗の琵琶譜などが発見された。これらの知見は、①での成果報告に活かされた。
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