2017 Fiscal Year Research-status Report
小津久足の文事―近世後期における紀行・詠歌・蔵書・小説受容の考察―
| Project/Area Number |
15K16692
|
|---|
| Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
|---|
Principal Investigator |
菱岡 憲司 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (10548720)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
| Keywords | 紀行文 / 詠歌 / 蔵書 / 陸奥日記 / 小津久足 / 松坂商人 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
小津久足の文事を解明するため、研究を行った。
研究会・学会における口頭発表として、「小津久足の紀行文」（鈴屋学会、2017年4月16日、本居宣長記念館）、「小津久足と本居大平――大平添削への反駁」（「近世中後期上方文壇における人的交流と文芸生成の〈場〉」公開研究会、2018年3月3日、大阪大学豊中キャンパス）、「小津久足の思想形成」（北陸古典研究会、2018年3月10日、金沢大学サテライト・プラザ）を行い、小津久足の紀行文・詠歌・思想形成について研究成果を公にした。
また、小津久足関連書簡の紹介として、「石水博物館所蔵・小津久足（桂窓）関連書簡について」（「鈴屋学会報」(34)、p55-58、2017年12月）と「本居宣長記念館所蔵・小津桂窓宛書簡（四）」（「国際文化学部紀要」(24)、p43-46、2018年2月）を発表した。いずれも未翻刻・未紹介の書簡であり、上田秋成の『春雨日記』の伝本を知る手がかりとして、小津久足の文事だけに留まらない、学術的価値を見出すことととなった。
さらに、歴史学研究者との共同研究の成果として『小津久足 陸奥日記』（佐藤大介・高橋陽一・菱岡憲司・青柳周一共編、東北大学大学院文学研究科東北文化研究室、2018年3月）を刊行し、翻刻と解説を担当した。これは、東日本大震災の被災地となった地域を、小津久足が旅をし、詳細な紀行文を書き記していることから、往事の姿を知る貴重な記録として、刊行が望まれたものである。人文学研究者が、その専門性を活かして、地域と社会に貢献するものとなった。
来年度刊行予定の『小津久足資料集』のため、小津家所蔵の蔵書目録や随筆等の翻刻作業を進めた。また、皇學館大学神道研究所から『小津久足紀行集（四）』を刊行するため、小津久足紀行文の翻刻作業を進めた。
以上のように、紀行・詠歌・蔵書・小説受容の四分野において研究を進め、成果を公にした。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小津久足に関連する資料の収集・分析において順調に作業を進めたうえで、それによって得られた成果を、口頭発表・論文・冊子の刊行というかたちで公にしており、予定どおり順調に進展している。
|
| Strategy for Future Research Activity |
2018年度は最終年度にあたるため、当初の予定どおり、小津家所蔵資料を中心に『小津久足資料集』を刊行する。また、皇學館大学神道研究所より、『小津久足紀行集（四）』も刊行し、４年間の研究成果を冊子として公にする。
|
