2018 Fiscal Year Annual Research Report
Literary practice of Ozu Hisatari
Project/Area Number |
15K16692
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
菱岡 憲司 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (10548720)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小津久足 / 小津桂窓 / 詠歌 / 紀行 / 蔵書 / 小説受容 / 松坂商人 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、これまでの書誌調査・画像撮影・資料分析の成果を『小津久足資料集』としてまとめ、発刊した。九州大学大学院生の村上義明・吉田宰両氏の協力のもと編集を行い、小津家に残る貴重な資料から「家の昔がたり」「松坂暮し方之事ニ付申聞」「かしましぐさ(抄)」「書目録」「蔵書目録続篇草稿」「久足筆応挙画番附」の6点を精選し、さらに天理大学附属天理図書館所蔵の「非なるべし」を加え、以上7点を翻刻した。総説を菱岡が執筆し、解説では村上・吉田に加え、滋賀大学の青柳周一氏に歴史学の立場から寄稿してもらった。また、DVDを付属して、撮影した画像を閲覧できるようにした。『小津久足資料集』は、小津久足の4つの文事(詠歌・紀行・蔵書・小説受容)のいずれにも関わる。 さらに、小説受容においては「馬琴評答集の再検討」(『日本文学研究ジャーナル』7号)を執筆した。ここでは、久足の詠歌や歌論によって見受けられる文学観が、馬琴との小説評論のやりとりのなかにも見いだせることを論じた。 また、紀行においても、久足晩年の紀行「海山日記」「花のぬさ」「梅の下風」の3つの紀行作品を翻刻し、通巻の索引を付属した『小津久足紀行集(四)』(神道資料叢書14)を発刊した。このうち、「海山日記」には、嘉永小田原地震に遭遇した記録が詳細に記されるなど、文学の枠を超えて活用が見込まれる資料である。 以上のように、最終年度は論文・著書のかたちで成果を公にして、4つの文事いずれにおいても、考察を深めた。
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