2017 Fiscal Year Annual Research Report
Literary and Cultural Study of the A-bomb Attack on Nagasaki and its Recovery
| Project/Area Number |
15K16693
|
|---|
| Research Institution | Miyazaki Municipal University |
|---|
Principal Investigator |
楠田 剛士 宮崎公立大学, 人文学部, 助教 (20611677)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
| Keywords | 長崎 / 原爆 / 戦後文化運動 / サークル / 生活記録 / 労働者 / 女性 / 炭鉱 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
「長崎のサークルを批評する」では、1956年から61年まで長崎市内で活動した「長崎ロマン・ロランの会」について論じた。鎌田信子や中里喜昭など後に長崎の文学・平和運動の有力な担い手となる人物が参加したこと、若い労働者たちの語り合いの場として形成・拡大したこと、平和・原爆問題への関心が長崎市内の他のサークルとの交流につながったことなどを指摘した。
「被爆地で生活をつづる女たち」では、1955年から60年代前半まで長崎市内で活動した女性たちのサークル「長崎生活をつづる会」の表現と運動について考察した。注目したのは、会員がどのように被爆後の〈日常〉を受け止め、その〈日常〉を変えるためにどのように言葉を模索したのかである。被爆者が見放された生活を語る方法を手に入れ、受容の場を形成していく過程や、体験を詩や生活記録にくり返し書き、言葉を編み直していく過程の一端を明らかにした。
また、多様な核の表象・言説をとらえるための基本情報と論点をまとめた共著『〈原爆〉を読む文化事典』では、「「ひばく怪獣」事件」、「折り鶴とサダコの物語」、「炭鉱」、「うわさ」、「投下機パイロット」の項目を執筆した。特に「炭鉱」では上野英信や井上光晴を取り上げる中で、北部九州の戦後文化運動の研究成果を盛り込むことができた。「うわさ」では復興期における原爆言説の特徴や、長崎のサークル誌に掲載された短編を紹介することができた。
このように最終年度はこれまでの資料調査や聞き取り調査を踏まえて、研究成果を発表することができた。
|
