2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of the Impact of Irish Partition on Ulster Literature
Project/Area Number |
15K16707
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中村 仁美 立命館大学, 文学部, 准教授 (10739212)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アイルランド文学 / 北アイルランド文学 / 南北分割 / 国境地帯 / 文学と場所 / Patrick Kavanagh / Michael McLaverty |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は本研究課題の遂行最終年度である。一昨年からひき続き、20世紀初頭から1949年のアイルランド共和国成立までの「アルスター」にゆかりある作家の文学作品における、南北分割(partition)の表象を検証してきた。前年度までの成果に対していただいたフィードバックを省察することから始まった本年度の成果は、国内学会・研究会での単独口頭発表二件、および会報記事二件である。 以前より精読の対象としてきたPatrick Kavanaghについては、第40回関西アイルランド研究会にて口頭発表を行った。20世紀アイルランド文学における「場所」の議論の萌芽、およびKavanag世代のアルスターにゆかりある作家の「場所」意識の問題を整理することができた。また、南北分割後もベルファストで活動を続けたカトリック系作家であるMichael McLavertyについては、日本アイルランド協会第25回アイルランド研究年次大会にて一考察を発表した。また、没後50周年を迎えたKavanaghに関連し、「大分県アイルランド研究協会会報」と「日本アイルランド協会会報」(共同執筆)にそれぞれ寄稿した。その他、8月から9月にかけてアイルランドと北アイルランドで調査を行い、現地研究者との交流や貴重資料の閲覧を行った。とりわけ、リネン・ホール図書館(Linen Hall Library)でMichael McLavertyの貴重資料を数日間かけて通読することができたことは収穫であった。総じて、次なる研究課題を見据えた下準備の一年となった。
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