2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K16732
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
窪田 悠介 筑波大学, 人文社会系, 助教 (60745149)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 範疇文法 / ハイブリッド範疇文法 / 統語論 / 意味論 / 削除現象 / 動的意味論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、研究代表者が提案している言語理論であるハイブリッド範疇文法に動的意味論を組み込み、削除現象の分析を行うことである。今年度の主な研究成果は以下の通りである。1pseudogappingの分析に関する論文がLinguistic Inquiry誌に受理された。2右接点繰り上げ構文における量化子のスコープ解釈に関する制約を、動的意味論の一種である依存型意味論を用いて分析する論文を東京で開催された国際学会LENLSにおいて発表した。3上記1の研究をさらに敷衍する形で、削除現象とwh移動の連動などの現象に関する分析に着手した。
上記の研究は、いずれも、ハイブリッド範疇文法の特徴である、統語論と意味論の柔軟なインターフェイスを活かし、削除現象の分析に関する従来の提案の問題を克服する新たな分析手法を提案するものであり、理論言語学研究の発展に大きく貢献することが期待できる。1に引き続き、2、3に関しても、来年度以降、主要な学術誌に投稿する論文を準備する予定である。
また、本年度は、以下の活動を行った。1 LSA Summer Instituteにおいて、範疇文法の入門的講義(7月)。2 European Summer School of Logic, Language and Information (ESLLI)においてCGによる言語現象の分析に関するワークショップ(8月)。3オハイオ州立大学 (OSU) において構成的動的意味論に関するワークショップ(10月)。これらの活動により、関連研究者と本研究課題に関する意見交換を行ったり、本研究課題と関連する共同研究に着手したりすることができた。2と3に関しては、書籍または学術誌の特集号の形で発表論文の改稿・発展版を出版する計画が進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は主に動的意味論の研究動向調査と大まかな分析案を作る作業にあてるとした。「研究実績の概要」欄に記した活動(特に2と3) により、関連研究者との有益な研究交流を得ることができ、研究が非常に順調に進み、当初の計画以上に進展した。具体的には、ハイブリッド範疇文法に組み合わせる動的意味論の理論として検討していた、依存型意味論(Bekki 2014)と動的範疇文法(Martin 2013, Martin & Pollard 2014)とハイブリッド範疇文法との親和性が非常に高いことが分かり、前者に関しては、すでにLENLSで発表した論文において、ハイブリッド範疇文法と組み合わせた具体的な文法フラグメントを発表した。また、後者に関しては、OSUでのワークショップの成果に基づき、ハイブリッド範疇文法に動的範疇文法を組み合わせる手法を現在模索中である。
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Strategy for Future Research Activity |
複数の文法理論を組み合わせ、より包括的な言語理論を構築することを目的とするという研究の性質上、初年度である本年度は、やや理論面に重きを置く形で研究を進めた。来年度以降は具体的な言語現象の分析を進めていきたい。特に、本研究において、複雑な削除現象の分析に取り組み始めたことで、すでに依存型意味論、動的範疇文法双方に関して、様々な重要な理論的問題が明らかになってきており、現在、この二つの動的意味論の提唱者たちとともに研究交流や共同研究を密接に行っている。本研究は、このように、単にハイブリッド範疇文法の拡張にとどまるものでなく、関連分野の研究の活性化のきっかけを作るものとしてすでに関連研究に大きな影響を及ぼし始めている。来年度以降の研究では、このような流れを踏まえ、さらに関係研究者との共同研究や研究交流を積極的に行い、分野全体の発展に寄与するような形で研究を展開していくことを目指す。
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Causes of Carryover |
本年度は、夏にLSA、ESSLLIという大きなイベントがあったため、他の資金援助が得られない可能性を考慮に入れて、科研費のみで旅費をカバーできるように見積もってあった。LSA、ESSLLIともに、主催者側から部分的に旅費補助が支給され、また、筑波大学の国際テニュアトラック制度により、比較的潤沢に旅費の支給があったので、これらのイベントにおける旅費の支出が当初の見積を下回った。この資金の一部を10月のOSUでのワークショップに回したが、さらに余裕が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した額を使って、次年度初頭、5月または6月に、本年度開催したワークショップと関連する、別のワークショップを米国オハイオ州立大学にて開催することを計画している。
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Research Products
(7 results)