2019 Fiscal Year Research-status Report
多人数会話における参与:傍参与者による他者発話の再生についての相互行為研究
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15K16737
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安井 永子 名古屋大学, 人文学研究科, 講師 (30610167)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 会話分析 / 相互行為分析 / ジェスチャー / 繰り返し / 傍参与者 / マルチモダリティ / 参与枠組み |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、研究成果報告をまとめることに集中した。前期は産育休を取得したため、後期のみに行った。まず、傍参与者による他者発話の繰り返しを扱った研究に関しては、成果が書籍に掲載された。その論文では、傍参与者が、直前の話し手による発話を繰り返しながら、その発話の産出者に指さしを向ける現象を取り挙げ、それが直前の発話をきっかけとした活動を組織し、その活動における参与枠組みの提示のリソースとなることを示した。 また、ジェスチャーの繰り返しに関する研究成果についても論文にまとめることができた。日常会話において、話し手と類似した身体動作を、受け手がその後の語りで産出する「繰り返し」が、どのようなプラクティスを達成するかについての分析結果をジャーナルに投稿した。現在は査読結果をもとに、修正作業中である。 これまでの成果として、他者の発話やジェスチャーを、別の参与者が後に産出する「繰り返し」が、先行する行為とのつながりを示したり、それらに対する反応を埋め込んだ形で、それをきっかけとした新たな行為や活動を構築したりすることを可能にすることが明らかになっている。 一方で、ジェスチャーの繰り返しに関しては、発話の繰り返しとは異なり、ジェスチャーのみが繰り返されるのではなく、ジェスチャーや他の身体動作を含んで構築される行為や活動がなされていると捉えるべきケースがあるということが、新たな課題として浮上した。ジェスチャーのみの繰り返しがなされているのか、より大きな行為や活動のredoingなのかについては、さらなる分析が必要であると考えられる。 当初の予定では、2019年度が最終年度となるはずであったが、後期のみでは予定通り研究活動が進められなかったこと、新型コロナウィルスの影響で2、3月の学会等の予定が全てなくなったことなどにより、2020年度まで研究期間を延長することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度の前期は、産休・育休のため、研究活動を行うことができず、後期のみの活動となったため、予定通り本研究課題に関わる活動を終了させることはできなかった。そのため、進捗状況は「やや遅れている」と判断した。とはいえ、研究成果の一部が出版されたほか、それとは別のデータの分析にかかわる論文をジャーナルに投稿し、査読結果を受け取る段階まで進めることもできたため、成果は感じることのできる一年であった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は、2019年度で研究期間が終了する予定であったが、産休の取得や新型コロナウィルスの感染拡大の影響などにより、2020年度まで期間が延長されることとなった。 2020年度は引き続き研究成果をまとめることに集中し、論文の執筆を進める。査読結果が返却されたものに関しては、修正し、再投稿を行う。また、本研究成果をもとにして更に発展させるべき課題や、そこから生じたさらなる疑問に関して、今後の研究課題も絞っていく。
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Causes of Carryover |
前期に産休・育休を取得したため、研究活動ができなかったこと、年度末に出席予定だった学会や研究会などが、全て新型コロナウィルス感染拡大の影響によりキャンセルされたことにより、予定通り予算が使用できなかった。 2020年度は、主に成果報告をまとめる作業に集中するため、英文校閲用の謝金等に使用する。また、学会のための旅費も必要となる。
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Research Products
(1 results)