2017 Fiscal Year Annual Research Report
An analysis of "phonological units" in Chinese dialects
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15K16742
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高橋 康徳 神戸大学, 大学教育推進機構, 講師 (90709320)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中国語 / 上海語 / ビン南語 / 音韻論 / 声調 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き上海語の変調域に関する研究を行った。発話音声資料から1500個以上の変調域を収集して、変調域の音節数や統語構造を詳細に分析したところ、以下のような結果が得られた。1. 変調域の音節数は2音節が最も多く、3音節以上の変調域には韻律的な自立性が弱い「機能語」が含まれる割合が高く「機能語」を排除すると 2音節変調域の占める割合は全トークンの約8割を占める。2. 変調域と統語構造はほとんどのトークンで一致するのだが、一部の特殊な構造を持つ語や句の場合は統語構造との不一致を示した。以上の考察を日本言語学会第155回大会で報告し、その発表は大会発表賞を受賞することとなった(授賞式は2018年6月)。 昨年度中心的に考察した上海語変調域末尾のバウンダリートーンの研究は、最終結果を論文にまとめて2017年6月に台湾の学術雑誌に投稿した。現在査読が進んでいる。 上海語の発話音声データで確認した「予期しないピッチ下降」に関しては、その実態を捉えようと予備調査を行ったが実験的な環境では当該現象が一切出現しなかった。この現象の考察は今後の課題とする。 ビン南語変調域については、母語話者から延べ45時間に渡る調査を行ってデータを収集した。現在そのデータの分析が続いているが、語用論的な要因をコントロールすることが予想以上に難しかったため、変調域への影響を特定するまでには至っていない。今後、収集したデータを再分析するとともに電子化など行って公表する可能性を検討したい。
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